解散命令の司法判断が内部で確実に進んでいると断言できる理由

しかしながら解散命令請求の裁判は非公開です。どのような観点で裁判が推移しているのかがまったく見えません。文科省も裁判の経過を公表できないなか、旧統一教会の田中富広会長は今年2月22日の審問後に会見を開いて、文科省の解散命令請求は「明らかな間違い」との意見陳述をしました。

文科省が解散命令請求すると決断した背景にあるのは、教団の「組織性・悪質性・継続性」です。元信者らが教団に対して起こした過去の民事裁判は、まさにその教団の「組織性・悪質性」を明らかにするうえで、非常に有効です。

私も1999年に元信者らとともに、統一教会相手に教団名を隠した布教活動についての違法性を問う裁判(違法伝道訴訟)を起こしました。2002年に東京地方裁判にて勝訴判決が出て、2004年に最高裁にて判決が確定しています。

法のコンセプト
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冒頭で「足音が近づいている」と書きましたが、なぜ、解散命令の司法判断が内部で確実に進んでいるといえるのかといえば、解散命令請求裁判の“前哨戦”に私たち被害者の声を聞いた文科省の側が“勝利”しているからです。東京地裁は今年3月、教団に対して10万円の過料の支払いを命じました。

これは教団が文科省の報告徴収・質問権に対して、十分な回答をしなかったことに対する“行政罰”。教団をめぐって民事裁判で下された数々の「違法判断」を、これまでは裁判官がどのように受け止める可能性があるか皆目わかりませんでしたが、この過料支払い命令によって、司法の“立ち位置”がわかりました。支払い命令の決定文にもこう書かれていました。

「信者らによる献金勧誘等行為について不法行為が認定されており、22件の民事判決で認定された事実関係によれば、全国各地において長期間にわたり、多数の被害者らに対し、その財産権や人格権を侵害する違法な行為が繰り返されていたとされており、22件の民事判決で認容された被害者らの損害額の総額が15億円超に上っている。(中略)被害に遭った者すべてが訴訟を提起するとは考え難いことからすれば、22件の民事判決で被害者とされた者のほかにも、(旧統一教会の)信者から同様の被害に遭った者が少なからずいることが推認される」

教団の不法行為によって社会全体で甚大な被害が生み出された状況が認められると、司法がみていることは明らかです。これにより、私は「解散請求決定は確実に前に進んでいる」と確信したのです。