英語の文章は「単語の並べ方」によって意味が決まる

英語の単語の役割は、「文章のどの位置にあるか」によって決まります。基本的なことから始めますが、このことをいま一度しっかりと理解しましょう。

たとえば、dogという単語で、英語の文章をつくってみます。

My dog is cute.(ぼくのイヌはかわいいんだよ。)
A dog is chasing a cat.(イヌがネコを追いかけてるよ。)

それぞれ、冒頭におかれたdogが「主語」ですよね。つまり英語では、文章のはじめにおかれた単語が、主語の役割をはたすことになります。

それに対して以下の例文のように、dogが動詞のあとにおかれた場合、それは「目的語」の役割をはたします。

I like dogs.(ぼくはイヌが好きなんだ。)
My father walks our dog every morning.(父が毎朝、イヌの散歩をしてるんだよ。)

同じdogという単語ですが、文章のなかの位置によって、その役割が違います。

「イヌが何かをしている」と言いたければ、dogを文章の頭におく必要がありますし、「イヌに何かをしている」と言いたければ、dogを動詞のうしろにおく必要があります。

つまり、英語の文章は単語の並べ方によって意味が決まるということです。並べ方を変えれば、意味も変わってしまいます。

Our dog walks my father every morning.

上の文章のように、dogの位置を冒頭に変えると、「ぼくたちのイヌが毎朝、父を散歩させているんだ」という、へんてこな意味になってしまいます。

この点、日本語では、単語の位置はさほど重要ではありません。

日本語には「てにをは」、つまり「助詞」があるからです。ある単語を主語にしたければ、「は」や「が」をつけ、目的語にしたければ「を」や「に」、あるいは「が」をつければいいわけです。

きわめて自由な日本語の語順感覚

さきほど、「イヌが何かをしている」と「イヌに何かをしている」という日本語の文章を書きました。どちらも冒頭におかれているのは「イヌ」という単語ですよね。英語であれば、両方とも主語だということになります。

しかし、日本語の場合は、位置の違いではなく、助詞の違いによって、かたや主語、かたや目的語の役割をはたします。イヌ「が」とイヌ「に」、の違いです。だから、日本語では単語の並べ方がきわめて自由になります。

たとえば、「父はいつも食事を自分の部屋で食べるんです」でも、「いつも自分の部屋で父は食事を食べるんです」でも、意味は変わりませんよね。あるいは、「食事をいつも父は自分の部屋で食べるんです」でも大丈夫です。

日本語の語順は、かくも柔軟性に富んでいます。唯一、「食べるんです」が末尾にくることを除けば、それぞれ語順がバラバラです。これが日本語の語順の特徴です。