「自分は本当は何にお金を使いたいのか」を分析する
【澤】話題をお金に戻して、ふゆこさんのお金に対する意識が大きく変化したのは、これからの長い人生をシミュレーションしたことがきっかけだとご著書にもありました。どのようなことがきっかけとなりシミュレーションをしたのですか?
【ふゆこ】もともとのわたしは、ずっと会社員を続けて、そのうち結婚して子どもを産んで、できれば新築戸建を買って……といった人生をぼんやりと思い描いていました。そこには自分の意志はほとんどなくて、「みんながそうしているから」といった漠然とした意識があっただけです。
ただ、そういった人生にどれくらいのお金が必要なのかと思っていろいろ調べていくうちに、ライフプランシミュレーションというものの存在を知ったのです。そこで試しにシミュレーションをしてみたら、結果は「人生の途中で破綻する」というものでした……(苦笑)。「いまのお金の使い方や稼ぎのままではまるで足りない」ということを突きつけられたのです。
【澤】「このシミュレーション結果はきっと間違っている」「見なかったことにしよう」と思うのではなく、素直に受け止めたのですね。
【ふゆこ】確かに結果を疑いました。でも、例えばシミュレーションに出てくる教育費の平均値などの数字のデータ元を調べてみると、きちんと明確な根拠に行きあたったのです。もちろんそのシミュレーションがすべて正しいという保証はありませんが、おおよそは合っているのだと納得したわけです。
【澤】そのシミュレーションがなければ、いまのふゆこさんはなかったかもしれないということですね。
【ふゆこ】そう思いますね。シミュレーションによって現実を知ったことで、「本当にわたしは結婚したいのか?」「どのようなことにお金を使いたいのか?」としっかりと考えるようになり、「自分ごと」としてお金と向き合い問題解決に向けて動けだせたように思います。
主体性のない「浪費メンタル」に陥っていた
【澤】先にストレスのお話がありましたが、自分を振り返ることも含めて、「メンタル」の状態とお金が密接に関連しているというお考えをお持ちであるように感じます。
【ふゆこ】そのとおりです。そもそも無駄遣いをしてしまう人の精神状態は「浪費メンタル」にあると考えています。かつてわたしが浪費をしてしまっていた時期を思い返すと、自分がなににお金を使いたいのか、自分がなにを好きなのか、なにを大切にしているのかといったことがまるでわかっていませんでした。
【澤】例えばですが、どのようなことにお金を使っていたのでしょう?
【ふゆこ】当時のわたしは、美容にハマっていました。1回数万円もするシミ消しレーザーの施術を受けたり、「デパコス」と呼ばれる高価なデパートコスメを買ったりしていたのです。でも、それは雑誌などの情報によって「20代女性ならこれを買わなければならない」といった思考になってお金を使っていただけであり、「本当に自分が求めているものであるか?」と考えたこともありませんでした。言い換えると、浪費メンタルとは「主体性がない」という状態を意味するのだと思います。