「銀行預金」はお金を減らす行為

仮にあなたがA銀行に100万円預けていたとしよう。いま、銀行預金の普通預金の金利は、0.02%だ。この100万円が2倍の200万円になるのに何年かかるだろうか?

答えは約3500年である。

気が遠くなる年数で一度や二度生まれ変わっても遠く及ばない。

「それでも構わない、お金が減らなければいい」という声も聞こえてきそうだ。

ところが、その場合に困ることは、生活するうえで必要な食料品や日用品、電車やバスなどのサービス料金が上がることだ。銀行預金にお金を預けただけでは、あなたのお金は実質的に減ってしまうことになるのだ。

たとえば、あなたがコンビニに行って鮭おにぎりを買ったとしよう。値段は138円だ。あなたは、お金を払いながら、「このところ食品の値段がずいぶんと上がってきたなあ」と実感する。1年前は123円で買えていたからそう感じるのも無理もない。鮭おにぎりの値段は、10%以上値上がりしているのだ(図表1)。

物価上昇に強い投資が必要な理由

話をわかりやすくするためにあえて極端な話をするが、仮に1個100円だったおにぎりの値段が、これから10年間10%ずつ値上がりしたらお金の価値はどうなるだろうか。おにぎりの値段は259円になり、100万円で1万個買えていたおにぎりは、10年後には3861個しか買うことができなくなる。

10年後に同じ1万個のおにぎりを買うためには、いまの100万円は、物価の上昇を上回る、少なくとも259万円までお金を増やしておく必要がある(図表2)。

これが物価上昇に強い投資が必要とされる理由だ。