法則に則っての投資は難しくない

このように理屈で考えれば、株式投資は理にかなっているのだが、世の中にはなぜ投資に不安を感じる人が多いのだろうか。それは、「投資」と「投機」を混同していることにあるのではないだろうか。

「投機」とは、たとえば、一日のなかで株式や為替の取引を何度も何度もくり返す日計り取引のように、短期的な価格の変動に着目した値段のサヤ取りなどで、プロでもその値動きを予測できず利益を出し続けることは難しい。

一方、「投資」とは、実態としての価値に着目し、その価値が長期的に増える傾向を見込むものであり、そこには一定の「法則性」を見いだすことができる。

鎌田恭幸『社会をよくする投資入門 経済的リターンと社会的インパクトの両立』(NewsPicks)
鎌田恭幸『社会をよくする投資入門 経済的リターンと社会的インパクトの両立』(NewsPicksパブリッシング)

たとえば、株価が基本的に会社の業績に連動すること、値動きの異なる複数の株式や投資商品を組み合わせて保有することによってそのリターンが安定する「分散投資の効果」、長期で投資を継続すれば時間の経過とともに雪だるま式に利益がふくらむ「複利の効果」などだ。それらの法則に則って投資を行うことはさほど難しいことではない。そのため、プロはもとより、個人であっても実践しやすいものといえる。

とりわけ株式投資において着目すべき「価値」とは、会社の本業における活動そのものだ。そして、株価は、短期的な変動はあったとしても、中長期的には業績に代表される実態としての会社の価値に収斂する傾向にある。これは自然の動きであり、明確な法則だ。

投資とは、価格(株価)ではなく、「価値」に投資するものである。リターン(利益)は、価値から生まれ、株価(価格)は価値に収斂する。このことは肝に銘じておきたい。

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