金価格が下がらなくなった
【大橋】ゴールドを保有する中央銀行にとって、ゴールド価格の値下がりは保有資産の目減りを意味します。自らのゴールド売却によってゴールド価格が下落することで保有資産が圧縮されていく事態に歯止めをかけようというものです。このときからゴールド価格は、下がらなくなりました。
「ゴールド売却制限協定=ワシントン協定」の内容は以下のとおりです。
1.ゴールドは今後も世界各国の重要な準備資産であること。
2.上記中央銀行は、すでに決定済みの売却を除いて市場に売り手として参加しないこと。
3.決定済のゴールド売却は、今後5年間にわたり協調プログラムのもとで実施されること。年間の売却量は400トン以下、5年間の合計売却量は2000トンを超えないこと(この2000トンには、売却決定済みの1715トンが含まれている)。
4.署名国中央銀行は、ゴールドの貸出、ゴールドのデリバティブ取引を拡大しないことにも合意したこと。
5.この協定は5年後に見直されること。
日銀の金はアメリカに置かれている
【大橋】また、この協定にはIMF、BIS、米国、日本も同意を表明し、これによって全世界の公的保有金の90%近くがこの制限に含まれることとなりました。
なお、このワシントン協定は、2004年3月に更新されることが決定し、同年9月から適用されています。
【エミン】世界各国の中央銀行は金準備を必ず持っています。日本の日銀も金準備を持っていますが、保有量はずっと730トンで、まったく増えていません。
そのありかは日本ではなく、大半は米ニューヨーク連邦準備銀行に置いてあると、日銀が発表しています。
【大橋】そうですね、日本銀行はゴールド保有を増やしていません。米国の同盟国である日本は米国債の最大の買い手ですからね。