若い選手はそう簡単に権威を信頼しない
ところが、どうも時代は変わってしまったようです。
日本社会の中でいわゆる「権威」と呼ばれる存在――大手銀行、官僚、政治家、警察、教師、親などが軒並み失墜する中で、そう簡単に若い選手たち(あるいは若手社員、子ども)は、コーチや監督(あるいは上司、親)の言うことに対して、心の底から信頼を寄せたりはしません。
少年野球チームに所属する子どもたちも、昔は多少どなられても、それをバネにうまくなろうと思えたものです。
でも今は「そこまでがんばらなくても」「別にそんなにうまくなりたいわけじゃないし」「怒ってばかりでイヤな監督」といった言葉が簡単に口を突きます。だから子どもが簡単にチームを去ってしまうのです。
子どもだけではなくて、昨今大学で体育会に入る学生も激減しているそうです。
「今はアクノレッジメントはしないけど、君が本当に血のにじむような努力をしてがんばって、大きな成果をあげたら、そのときこそは、これまで体験したことのないようなすばらしいアクノレッジメントが手に入るよ」
――こうしたアプローチは、どうやら(特に)今の若い人には効かないようです。