「紙ストローは環境にやさしい」は本当か

レジ袋が有料化されたころ、国内の飲食店では、提供していたプラスチックストローを紙ストローに替える動きがあった。だが、ほんとうに紙ストローはプラストローより環境への負荷が小さいのだろうか。じつは、その後、「プラストローの代替品は、かならずしも地球にやさしいわけではない」という研究結果が科学論文として公表されている。

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たとえば米国内でのストロー使用に関する研究。原料の生産から輸送、製品化から使用、廃棄にいたるまでの製品の一生について地球環境への負荷を調べる「ライフサイクル・アセスメント」の手法を使った。環境への負荷としては、地球温暖化、水域の富栄養化など8項目を考慮した。

その結果、「ごみとしての最終的な処分方法が焼却であろうと埋め立てであろうと、従来のプラストローは、生分解性プラスチックストローや紙ストローより環境にやさしい」ことがわかった。これは2022年に発表されている。

ブラジル国内で行われた同様の研究でも、やはり紙ストローよりプラストローのほうが環境にやさしく、金属やガラス、竹でできたストローを「マイストロー」として繰り返し使っても、それがかならずしも地球環境の負荷軽減には結びつかないと指摘している。プラストローが減っても、それで地球環境が悪化してしまうなら本末転倒だ。

日本における「ファクト」が必要不可欠

こうした結果は、その国の電力はどうやってまかなわれているか、製品の原料がどのような方法で生産されているかといった個々の事情で変わるので、その国や地域、目的とする製品に特化して評価する必要がある。したがって、この論文の結果がそのまま日本国内にもあてはまるとはかぎらない。

本来なら、国はこうした研究を進め、日本ではプラストローやレジ袋をどう扱うのが適切なのか、そのファクトを社会と共有したうえで施策を立案し、あるいは変更していくべきだろう。それがモヤモヤ解消への道だ。

事はプラごみ問題にとどまらない。この国では、都合の悪いファクトにふたをするかのような施策が目につく。端的な例を挙げよう。巨額の税金が投じられている国の地震防災対策である。