詳細調査が明らかにした「ニュースの基本」

5年間にわたり150局、2419のニュース番組から3万3000の報道を分析し、判明したのは、どのようにしてそのニュースは取材され、報じられているか――取材した相手の人数、バランス、専門性、視聴者とのつながりや重要性がはっきりしているか、ニュースとしての完成度は高いか――が、テーマが何かよりも2倍重要ということだった。

この発見はデジタル時代にはとりわけ重要だ。情報の消費者が探し求めるものが、ニュース番組ごとではなく個々の報道内容単位になっていく時代なのである。

基本でありながら見逃されることが多いものをこの調査はあぶり出した。市民として考えるべき問題の報道は視聴者の反応が悪いと感じるテレビ局は、反応を取り違えていたのだ。人々は市民としての問題に興味がないことを示しているのではなかった。そうした問題を扱う報道には優れていないものが多すぎるという事実に反応していたのだ。そして、優れていない理由は、制作側が視聴者は興味を持たないだろうと考えたからだった。

質問によって視聴者の興味は大きく変わる

同調査はこのことを予測し、少し強調するものとなった。(視聴者は興味を持たないだろうという)見通しを持ったがゆえに、実際にもその通りになってしまうという問題は、私たちがピュー・リサーチセンターと協力し、ある実験を行った時に判明した。有名なテレビ市場調査の質問文を、ピュー・リサーチセンターの調査担当者がより客観的になるように変更し、比べてみたのだ。

その質問というのは、政府に関するニュースへの興味を調べるものだった。テレビ市場調査では、州政府や地元役場についての報道をもっと見たいかと単純に聞いていた。そのような報道に大変興味を持つだろうと答えたのは29%にとどまった。

ピュー・リサーチセンターは政府や役所とだけ言う代わりに、それらが解決しようと重点を置く問題を付け加えたところ、数字は劇的に変わった。「地元の学校の成績を上げるため、政府・役所は何ができるかについての報道」に興味があるかを聞かれると、「とても興味がある」が59%に跳ね上がった。

公共の場所が確実にテロから守られ安全であるため政府は何ができるかについての報道に興味があるかを聞かれると、「とても興味がある」の数値はさらに上昇し67%となった。医療保健費削減に関する報道をめぐっても、興味の高さの数字は同様のものが得られた。これらのテーマは全て、学校から医療、公共安全まで、政治と政府に関係することばかりなのである。