「いずれ紙媒体はインターネットに駆逐される」と議論

それぞれの業界には、生業の本質があります。銀行であれば「秩序」、メーカーなら「協働」、それならリクルートの場合は何か?

われわれは日々、さまざまなコンテンツを扱っていて、メディアの形態もまた変わっていく。

実はリクルートでは、1990年代半ばの段階で「いずれ紙媒体はインターネットに駆逐される」ことが議論されていたんです。あれだけ情報誌を出していながら。

1995年の流行語大賞に「インターネット」がノミネートされました。ちょうどウィンドウズ95が発売され、コンピュータと通信の融合が一般の人々にも普及する中、導き出された結論が「変化」でした。

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「いずれ紙媒体はインターネットに駆逐される」と議論(※写真はイメージです)

リクルートの人事制度を一気に改革

リクルートの本質が「変化」であるなら、人事の評価軸も営業成績ではなく「新しい価値を創造できること」であるべきではないか――。

そこから、リクルートの人事制度を一気に改革していきました。

階層別研修制度は、すべて廃止。浮いた予算は、インターネットをテーマとした外部講師による社員教育に充てていました。

そして法定外の寮や社宅、新幹線通勤などの福利厚生も全廃にして、社員の能力開発にシフトしていきました。

2000年に人事担当の役員になると、3年勤務を前提とした社会人版新インターンシップのようなCV(キャリア・ビュー)制度を創設しました。3年勤続したら100万円の退職金を出す。という制度です。

組織の中にどんどん人が流入する中、人と共に新たな情報がどんどん組織に入り込んでいけば、活力が増していくわけです。