「自分さえ富めばいい」という国の末路

ところがこれを真顔で言う人は少ない。

政治家も、学者も、企業家も、投資家も、労働者も、芸能人も、スポーツ選手も、先生も、医師も、そして僧侶さえも、エネルギー資源や、金銀、通貨、株式などを「宝」だと考えている。

もちろん、それも大切な宝だ。けれども、だからといってそれらを少しでも得ようと、自分だけが得ようと躍起になってきて、今どうなったかと言えばその末路が今日の「円弱」だ。

資材も食糧も、外に頼り、お家芸であったものづくりも外に出してしまい、ついには「人」さえも外へ出ていき、さらには「希望」や「自信」すら失っている。

「円弱」日本にとって今必要なことは、各々が「宝」であることに気づき、その宝を磨き育むこと。つまり慈悲心と智慧と仏性を育むことだ。

「一隅を照らす」人と企業が未来を創る

「大きな権力や財力を持った人が大きなことをやらないと、『円弱』は変わらない」そう考えているならば、それは違う。

「一隅を照らそう」と自ら努力行動する人。
「一隅を照らそう」と自ら創意工夫を凝らす企業。

それこそが日本の明るい未来を創っていくことを知ってほしい。

私たちの国にはそうやって、困難に耐え、危機を乗り越えてきた先人と長寿企業の歴史があるのだから。

写真=iStock.com/Bertlmann
※写真はイメージです
関連記事
日本のホテルは「1泊10万円」に値上げしていい…円安日本が"インバウンドで景気回復"するための必勝法
「まもなく日米株式市場の大暴落がやってくる」世界的投資家ジム・ロジャーズが予測するそのXデーはいつか
「失業」が死語になる時代に、生産性の低い"ゾンビ企業"を守る必要はない…人手不足時代の日本で起きる大転換
「義理人情を大切にした方がいい」は大間違い…住職「人間関係に悩む人に決定的に欠けている視点」
これだけは絶対にやってはいけない…稲盛和夫氏が断言した「成功しない人」に共通するたった1つのこと