35歳以上になると、チーム全体をマネジメントするスキルも不可欠です。企業が求めるのは、メンバーのモチベーションを高めながら、1人1人の力を足し算ではなく「掛け算」にしていくチームビルディング力。その点では、比較的能力やモチベーションが高い人が集まる大企業におけるマネジメントの実績よりも、多種多様な社員がいて、能力やモチベーションもばらばらのチームで実績を出した人のほうが、転職市場では評価される傾向にあります。

事業そのものをマネジメントする力も必要です。ベンチャー企業のように人的・物質的資源が足りない組織で事業をマネジメントした経験がある人。たとえばマーケティングの部署がある大企業なら、セールス部門のマネジャーはセールス領域に特化した仕事に集中できますが、人的資源の少ないベンチャーでは、セールス部門のマネジャーでも、マーケティングを含めてカバーすることもあります。そうした守備範囲の広い経験が評価される傾向にあります。

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「35歳の壁」を乗り越える人の7つの条件

マインド面では、柔軟性が大事です。どんなに実績のある人も、他社に転職すれば一度リセットしてゼロからチャレンジする覚悟が必要です。ところがプライドの高さからか、過去の成功体験にしがみつく人が少なくない。こういう人は転職先で現状を否定し、過去の成功体験を持ち出し、再現しようとします。まさに企業が敬遠したいタイプの人材です。現場を受け入れながらも、新たな価値として企業を進化させることのできる人材が必要とされています。

転職先は自分を必要としてくれる企業を選びたいですが、そうした出合いは、ヘッドハンティングなどで声がかかったり、リストラなどで突然訪れたりします。いざというときに慌てないためにも、自分の強みや、将来のキャリアビジョンを今から整理しておくのをお勧めします。

リクルートエグゼクティブエージェントエグゼクティブコンサルタント 
森本千賀子

1970年生まれ。93年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)入社。2010年より現職。近著は『No.1営業ウーマンの「朝3時起き」でトリプルハッピーに生きる本』。
(構成=村上 敬 撮影=大沢尚芳)
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