離婚
それから2年後。行田さんは次男を出産。夫は出張のため2週間ほど家を空けることになり、その間、行田さんを手伝いに母親が来てくれた。
そこへインターホンが鳴る。またしても引越し先を伝えていないにもかかわらず、義母と義兄だった。行田さんが鍵を開けずにいると、母親が「お母さんがいるから大丈夫」と言う。
鍵を開けた途端、2人がズカズカ上がり込んできて、「お母さんもおられるならちょうど良かった。とっても良い話があるの! 教会のご夫婦に、長男くんか次男くんのどちらかを養子に出してほしいの」と言う。
瞬間、頭に血が上った行田さんは「帰れ! 今すぐ帰らなかったら警察呼びますよ!」と叫んだ。義母と義兄は薄笑いを浮かべて帰って行った。
その夜、念のため行田さんが父親に家にいてもらうと、そこへまた義兄がやってきた。父親がいるとは知らず、義兄はドアを乱暴に叩く。
そこで行田さんの父親が出ると、義兄は驚いた様子でスゴスゴと帰って行った。夫が出張から帰って来ると、長男も次男も大喜び。夫も嬉しそうに2人を抱く。そして2人を寝かしつけた後、行田さんは夫に離婚を切り出した。
・このままだと2人のどちらかが連れ去られ、養子に出されるかもしれないこと
・夫と婚姻関係でいる限りどこへ引越しても安心できないこと
これらを話すと、夫は涙を流して離婚を拒んだ。
「悪いけどもうパパのこと信じられない。いざとなったらお母さんの味方するんじゃないかと思ってる。本当に子どもたちのことを大切に思ってるのなら、パパの実家とあの子たちを離れさせてよ! 最後の最後くらい、私たちのことを優先してよ!」
叫ぶように言うと、ようやく夫は、1人につき6万円の養育費を支払うと約束して離婚に応じた。行田さん34歳、夫36歳のときだった。