ウォール・ストリート・ジャーナル紙もAmazonフレッシュでのセルフレジ設置を報じ、「様々なセルフレジを採用した結果、買い物客の不評を買い、数年後に廃止した例が出ている」と言及。3月にも米ディスカウント店のファイブ・ビロウが、万引きの多さを理由にセルフレジの利用制限の方針を発表している

レジ待ちのストレスは減ったけれど…

私たち消費者の視点から見ても、Amazonは二面性を持つ企業だ。良い面としては、かつて売り手の顔が見えず、不安が付きまとったネットショッピングの世界を一変させ、ワンクリックで当日や翌日に安心して配送を受けられる枠組みを作り上げた。

その一方、ユーザーの購買履歴やカード情報を把握している関係上、個人情報への懸念が付きまとう。モラル面での評判も芳しくない。有料会員「Prime」のキャンセル手続きを複雑化しているとしてFTC(米連邦取引委員会)に訴えられたほか、同社のサイト上で散見される低品質な商品や偽レビューへの対応も十分に行われていない。便利だが、全幅の信頼を置くわけにはいかない。それが多くのユーザーの認識でもあろう。

そんなAmazonが、消費者のふだん利用する実店舗を変えようとしている。将来的には好むと好まざるとにかかわらず、Amazonまたはライセンスを受けたパートナー企業によるレジなし店舗が、日本に進出する展開があるかもしれない。イギリスへはすでに海外進出を果たしている。ひとたび国内に登場すれば、大型モールが地元の商店街を駆逐するように、日本のスーパーを軒並み置き換えてゆく可能性もゼロではない。

地元のスーパーやコンビニで、いつか数百台のカメラに囲まれるようになったとき、立地によってはやむを得ずその店に通い続けざるを得ないこともあるだろう。カメラだらけの店舗が日本に増殖する未来は、受け入れることができるだろうか。レジ列不要のストアと聞けば耳に心地よいが、監視されながらのショッピング体験は快適とはいいづらそうだ。

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