米著名テックメディアのギズモードは、ジャスト・ウォーク・アウトの開発チームに近い関係者の証言として、自動会計を謳っていたにもかかわらず、実際にはインドのリモート拠点で約1000人の確認係を雇っていたと報じた。Amazonの担当者が監視カメラの映像を閲覧し、顧客が何を買ったか目視で判定していたという。

記事によると、ジャスト・ウォーク・アウトの立ち上げ当時はほぼすべての顧客を人間が確認する必要があり、現在でも20~50%のケースで人間が判断していると、元上級チームメンバーの情報筋は述べている。Amazonはジャスト・ウォーク・アウトを縮小する意向であり、担当チームは一部メンバーを残して解雇されたという。

ただし、Amazonはこの報道に反論している。同社は4月17日、Amazonはブログ上で声明を発表した。手作業での登録はあくまでAIの精度向上を目的としており、買い物の大部分が手作業で登録されているとの報道は「真実でない」と否定した。ただし同社は、買い物全体の何割が誤認識されているか、具体的な数字は明らかにしなかった。

AIの画像解析でも誤請求が繰り返される

Amazonの「レジなしストア」が商品を正確に検知できていないという報道は以前からある。

米CNBCが22年8月に配信した記事では、ケイティー・スクーロヴ記者が商品を手に取り、退店したところ、彼女のアカウントに誤った金額が請求された。

「店内でもかなり監視の厳しいエリアを素早く通ったところ、誤請求を受けてしまいました」とスクーロヴ記者は語る。

何も気にせず店舗を立ち去れることがジャスト・ウォーク・アウトの最大の売りであるはずだが、後から届く明細を毎度確認しないといけないのであれば、目の前で登録してくれる有人レジの方がまだ安心で使い勝手がよいだろう。

2021年3月4日、ロンドン西部のイーリングにあるアマゾンの新店舗「アマゾン・フレッシュ」に入店し、携帯電話をスキャンする客。
写真=AFP/時事通信フォト
2021年3月4日、ロンドン西部のイーリングにあるアマゾンの新店舗「アマゾン・フレッシュ」に入店し、携帯電話をスキャンする客。

アプリで確認しないと気づかないまま

こうした事例は他にもある。ロサンゼルスのニュース局「KTLA」では、リッチ・デムーロ記者が2022年、ジャスト・ウォーク・アウトを導入したAmazon Goのコンビニを訪れている。

何度も利用したというデムーロ記者は、店舗のコンセプトには満足したようだが、「ジャスト・ウォーク・アウトの技術は必ずしも完璧ではない」「私の経験上、間違った商品の代金を請求されることが時々ある」と指摘する。

誤請求された場合、Amazonアプリから比較的スムーズに返金請求できる。だが、そもそもアプリを開いて都度確認しなければ、買った金額より多くを支払ったままだ。さらに、確認に必要な明細は店ですぐ発行されるわけではなく、数分経ってからAmazonアプリに届く。確認の機会を逃してしまうこともあるだろう。