新聞には「信頼性の高さ」があるが…
新聞協会の今回の報告書は、新聞広告の復権を主眼にしているため、一定のバイアスがかかっていることは否めない。
そこで、あらためて新聞広告の特性を客観的に見てみたい。
まずメリットから。
先に挙げた「信頼性の高さ」は、新聞に掲載されるためには新聞社の広告審査基準をクリアしなければならないことで裏打ちされ、紙面で見られる広告情報は一定の安心感を共有できることを意味する。それは、掲載企業や商品の価値を高める「ブランディング」にもつながる。
ほかにも、「不特定多数の人に読まれる」「中高年世代へのアプローチに適している」「高収入層へアプローチしやすい」などが挙げられる。
一方、デメリットとしては、
・情報の流れが一方通行のため、認知や購買につながったかどうかを測ることが難しい
・読者が中高年層に偏っているため、若年層向けの商品やサービスには向かない
などが指摘される。
裏を返せば、いずれも、ネット広告のメリットということになる。
きめ細かいターゲティングも、効果測定も難しい
広告主にとって広告を出稿する最大の狙いは、最終的に商品やサービスを購入してもらうことにある。そのためのコストが低ければ、なおよい。
そうした観点に立てば、ネット広告は、年齢、性別、エリア、趣味趣向、デバイスなど、対象を細かくターゲティングできるため、広告情報のリーチ度は新聞広告とは比較にならないほど高い。
また、広告の表示回数、クリック回数、自社サイトへの誘導、購買の可否まで正確に計測できるため、効果測定の差は歴然としている。
新聞広告とネット広告の特性は真逆であり、リーチ度と効果測定というネット広告のメリットは広告主がもっとも把握したい情報であるがゆえに、ネット広告にシフトするのは自明だろう。
ネットにもテレビにも太刀打ちできない新聞広告
実は、新聞協会の今回の調査では、「メディア別の広告の印象・評価」について18項目の設問を設けており、その結果は、新聞広告の現在地を示している。
新聞の折り込みチラシを除くマスメディア4媒体の中で新聞がトップだったのは、「情報が信頼できる」44.0%、「ゆったりと広告を見聞きできる」36.5%、「地域や地元の情報が多い」30.2%、「企業の環境問題への取り組みがよくわかる」24.4%、の4項目のみ。
一方、ネットは「必要な情報を改めて確認できる」40.3%、「知りたい情報が必要十分に得られる」40.0%、をはじめ10項目で新聞を上回った。