新聞広告は「ネット広告の効果を高める」と主張するけれど…

そのうえで、新聞広告とネットの関連について尋ねたら、ソーシャルメディアで新聞広告に関する投稿を見たことがある「ネット利用者」が46%と半数近くに上り、さらに「いいね」や「リポスト(リツイート)」など何らかのアクションをした人は28%もいたことが判明。しかも、いずれも、ネットに精通する若年世代(15~39歳)が中高年世代(40歳以上)より高いスコアを記録した。

これらの数字から、日常的に新聞に接しない若年層にも、新聞広告がソーシャルメディアを通じてリーチできる可能性があると力説した。

さらに、ネットで見た広告を、新聞でも見た場合に「理解が増す」と答えた人は39%、「信頼性が増す」が32%に上った。これに対し、テレビはそれぞれ34%、23%。雑誌36%、22%。ラジオ31%、21%にとどまったことから、ネット広告の効果をもっとも高めるメディアは、新聞であることが立証されたという。

新聞広告の強みは「高い信頼性」

一方、「ネット利用者」の約半数が、ネットで入手するニュースの提供元をチェックしており、「信用できる提供元」として挙げたのは、新聞社56%、テレビ局49%、雑誌17%、ネットメディア16%の順だった。

また、「情報が信頼できる」と評価する広告メディアは、新聞が44%に上ったのに対し、ネットは17%しかなく、両者の間には著しい乖離があった。

新聞社発の情報が高い信頼を得ていることがうかがえ、「信頼」というキーワードが新聞広告の強みになっていることが確認されたという。

報告書は、こうした一連の調査データを踏まえ「新聞広告をネットと組みわせることで、新聞広告の強みがより発揮され、広告の訴求力を高めることが期待できる」と結論づけたのである。

広告主から見向きもされていない

だが、新聞広告の窮状をみると、こうした訴えが、どこまで広告主に刺さるかは見通せない。

電通が2月末に発表した「2023年日本の広告費」をみると、国内の総広告費は前年比3.0%増の7兆3167億円と、2年連続で過去最高を更新。中でも、新聞やテレビからネットへのシフトが一段と進んでいることが明らかになった。

出典=電通リリース「2023年 日本の広告費

ネットは、7.8%増の3兆3330億円で、全体の半分近い45.5%を占めるまでに飛躍的に成長した。

一方、新聞は5.0%減の3512億円、テレビも3.7%減の1兆7347億円にとどまり、雑誌1163億円とラジオ1139億円を合わせてもマスメディア4媒体の総広告費は2兆3161億円(前年比3.4%減)に過ぎず、束になってもネットにはかなわない状況だ。

日本新聞協会「新聞広告費、新聞広告量の推移」参照

新聞の総広告費は、1990年の1兆3593億円をピークに、2006年に1兆円を割り込み、リーマンショック後の09年には半減、コロナ禍を経て23年はさらに半減、今や広告費全体の5%にも満たなくなってしまった。

肝心の新聞の総発行部数が、1997年の5376万部から2023年10月には2859万部と、ほぼ半減。新聞の影響力が低下しているだけに、新聞広告の媒体価値が下がるのはやむを得ないだろう。