「一往復半」が正しいのか「一往復」ですませていいのか
コミュニケーションの世代間ギャップは他にもある。
一般的に、上司や取引先にメールなどで仕事の依頼をする場合、自分が送信し、相手から返信がきたら、それがOKであれNGであれ、承諾やお礼の旨の返信をする「一往復半」が1セットとされている。
しかし、最近は最後の返信をせず「一往復」ですませる若い世代が増加中との指摘がある。上の世代にとっては、たとえば仕事の依頼に即OKを出したにもかかわらず、何の返信もないと不安・不審に思う人もいるだろう。
前出の29歳の営業職の男性は「社員教育の講師からは、目上の人に仕事で何かをお願いする場合、相手の返信だけで終わりにするのはNGと教わっています。お願いしたこちらが返信しないと失礼にあたり、返信するにしても、取引先に絵文字だけ送ったら、驚くのではないか」と語る。
一方、人材サービス会社の26歳の女性は最後の返信をするのを躊躇してしまうと言う。
「承諾の返事をいただいて、こちらから『承知しました。ありがとうございます』と返信すると、相手がメールを見たり、追加の返事をしなければならない空気にして、相手に余計な業務を増やしてしまうのではないかと思ってしまう。返信するにしても『ありがとうございます』のスタンプを送ることができればそうしたいと思うが」
同じ20代でも真逆の反応だ。LINEや新しいチャットツールは便利だが、旧習を大事にする組織や人も少なくない。チャットなど新しいコミュニケーションスタイルをどう取り入れていくのか、難しい時代に直面している。