午後からは作業設計をします。ゴールまでのロードマップをつくり、役割分担をして一気に取りかかりました。結果、予備にしていた週末も使わず、期日どおりにやり遂げることができました。

ここで挙げたのは極端な事例ですが、コンサルティングのプロジェクトを2週間や10日で行う場合、初日の段階で明確な最終形のイメージを持てないようでは、数千万円レベルのフィーはもらえないというのが、これまでの経験を通しての私の実感です。

脳科学の観点からいえば、脳は脳自身が「意味がある」と思うことしか認知できません。最初の段階で、どのような話に意味があるかという最終形のイメージを脳に明確に刻み付けることで、それに類する情報に対するクロスレファレンス(相互参照)が脳の中でしやすくなります。結果、アウトプットの精度が高まるのです。またポイントが明確になって、活動に集中しやすくなります。

最終形のイメージを持ったら、次はそこに導くための全体的な論理骨格、ストーリーラインをつくっていきます。つまり、どういう結論をどういうロジックで裏付けていくかというプレゼンの流れを決めるのです。

ストーリーラインをつくるときには、ここを見極めておかないとストーリーが根底から崩れてしまうというサブ論点がいくつか出てくるもの。時間が限られているのですから、これをさっさと見切るのが勝負です。詳細な調査は後回しにして、早急に検証して論理的におおむね大丈夫そうだという目処をつけます。

描いたストーリーラインは常に概観し、どこの論理が弱いか、話のつながりに無理がないか、バランスがおかしくないかなどを毎日確認します。日々、枝葉を分析・検証しながらアップデートしていくのです。これを繰り返すことで、プロジェクトが無事着地できるかどうかが見えてきます。

ライフネット生命副社長 岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
1976年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中に司法試験に合格。BCG、リップルウッドHDを経て、ハーバード経営大学院に留学。上位5%の優秀な成績を収める。卒業後、準備会社の設立に参画し、副社長に。近著は、『 132億円集めたビジネスプラン』。

ヤフー執行役員 事業戦略統括本部長 安宅和人
(あたか・かずと)
修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学し、Ph.D取得。2008年ヤフーCOO室室長、12年3月より現職。経営課題・提案案件の推進に関わる。著書に『イシューからはじめよ』。
(小川 剛=構成 市来朋久=撮影)
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