子どものこころを受け止めるには

ケース1の改善例
「今度の担任の先生、いやだなあ」
「そうか、いやか……。そう思っちゃうことが何かあったのかな?」
「だって、宿題が多いし、よく怒るからいやなんだ」
「それは大変だな。そんなに宿題が多いのか。お前もつらいなあ」
ケース2の改善例
「今日は学校に行きたくないなあ」
「そっか。行きたくない……。そう思うことが何かあったのね」
「○○くんとケンカしちゃってさ。仲直りできるかな……」
「そっか。○○くんと仲がよかったものね。うまく仲直りできるかどうか、自信なくて、学校に行くの、やだなあって思っちゃうのね……」

こんなふうに、子どもの気持ちを「ただそのまま受け止める」だけでいいのです。

・「でもね」「そうは言ってもね」を言わない
・アドバイスはしない
・軽い一言で十分「そうか」「それは大変だね」
・「余計な一言」を言わない

これらにも気を付け、さらには、その話で相手が言おうとしている「つらい」「さびしい」といった、その人の「気持ち」を表す言葉をピックアップして、「○○な気持ちなんだね」と伝えてもよいでしょう。

このように、子どもの気持ちにピタッとくる一言を推測して添えることができると、子どもは「お父さん、お母さんは、僕(私)の気持ちをわかってくれようとしている!」と思って、もっと気持ちを語り出すかもしれません。時には、

「もうつらいよ」
「私なんかいないほうがいいのかもしれない」
「死んでしまいたい」

などという重い言葉を子どもが語り始めるかもしれません。その際にもせっかく話してくれたその気持ちをそのまましっかり受け止めましょう。

励ましたりしない

「そうなんだ……」

親としては、そのまま絶句してしまうかもしれません。ショックのあまり、何も言葉が出てこないかもしれません。

それでよいのです。すると、子どもは、自分の言葉を親が重く受け止めてくれたと感じるでしょう。

「そんなこと言わないで。頑張ろう!」などと励ましたりしないでください。こんなふうに励まされると、子どもは、親が自分の気持ちから「逃げたな」「逸らしたな」「ごまかしたくなったな」と感じます。そのため、こころを閉ざし始めます。二度と気持ちを語ってくれなくなるかもしれません。

子どもが悩みを言葉にしてくれるのは、とても素晴らしいことです。つらいことや苦しいことを親に言えるのは、「この親になら、わかってもらえる!」という安心感・信頼感があるからです。親子の間に信頼関係が築かれている証拠です。その信頼に応えるには、子どもの気持ちを逸らしたり、ごまかしたりせず、しっかりとそのまま受け止めることです。

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