第三の理由は、経営者の減価償却費についての理解不足である。このために税金を多くとられてしまい、資金繰りに悩まされるケースがある。


過剰な在庫・売掛金・貸付金に注意せよ

「例えば、設備投資のために導入した機械の耐用年数より借り入れの返済期間が短いと、減価償却費の金額より毎月の返済額が上回ってしまうことがあります。その結果、もし当期利益が出たとしても、それが返済に回ってしまい、手元資金はないにもかかわらず税金を支払わなければならない事態になります」

では、黒字倒産を防ぐ方法は何か。一にも二にも計画的な資金繰り表を作成することである。

銀行へ提出するキャッシュフロー計算書とは異なる、シンプルな形式のものでいい。最低限の経常収支(売上金や支払金)や、財務収支(金融機関からの借り入れによる入金や返済のための出金)などが把握できれば、「いつ資金が足りなくなるか」を予測できる。

「資金が足りなくなってから資金調達を考えても遅い。黒字で銀行から借り入れがしやすい状況にあるときこそ、ある程度前から先を見越して融資をしてもらうことが大切なのです」

(市来朋久=撮影)