日本でもSNS規制法が成立する可能性はある

2つ目は議会で異例の超党派協力が行われていることだ。最近は国民や議会の分断がひどく、移民政策や経済、ウクライナ支援などをめぐっては両党が激しく対立し、お互いの妥協案や解決策をなかなか見いだせていない。ところがSNS被害の問題では両党の議員の意見がほぼ一致しているのである。

ブラックバーン議員も「めったに見ることができない超党派の姿勢で対応していきます」と述べ、「もう言い訳はできません。なんとしても採決しましょう」と呼びかけている。

3つ目はこれまで述べたようにこの問題の深刻さに公衆衛生長官が警告を発し、議会の公聴会が開かれ、国民の関心と規制強化を求める声がかつてないほど高まってきていることだ。連邦政府と議会はこれ以上問題を放置し続けることはできないだろう。グレースさんの母親などSNSが原因で子供を亡くした親の会の人たちも皆、KOSAの成立を強く求めている。

最後にこの問題は日本にとっても決して対岸の火事ではないということを付け加えておきたい。もしKOSAが制定されたら、米国と同じように未成年者のSNS利用率が高い日本にも何らかの影響があるかもしれないからである。

SNSは交友関係を広げたり、情報の収集・発信に活用できるなどのメリットがある一方で、利用の仕方によってはトラブルが生まれて人間関係が悪化したり、いじめや虐待、性的搾取などの被害に遭う危険性がある。だからこそSNS企業に安全対策を義務付け、ユーザーはそのリスクを知ったうえで適切に使うことが大切なのである。

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