一流は「具体的な感謝」を伝える

一流は、「先週水曜はサポートしてくれてありがとう」と声をかけます。このように、具体的な日時と出来事に言及するのです。この方法は非常に効率的であり、部下や後輩も具体的な状況や行動に対するフィードバックが得られるため、次に何をすればよいのか、どのように改善すればよいのかが明確になります。

この一言はただの感謝の言葉ではありません。それは一つの短いフレーズで多くの情報を伝え、状況を確認し、そして最も重要なのは、相手に対する評価と感謝を行っていることです。日常的にこのようなコミュニケーションを繰り返すことで、部下や後輩との信頼関係を築き上げることができます。

信頼関係を築くことができれば、それがさらなる時短につながります。信頼された部下や後輩は自分から積極的に行動し、リーダーが求める結果をより早く、より高い水準で達成するからです。一流のリーダーが「時短」に成功しているのは、その優れたコミュニケーション能力と深い洞察力に起因します。自分のことばかり考えず、相手に興味関心を持って接していれば、不要な声かけはなくなります。

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相手のどういった点を具体的に褒めるべきかを明確にしてから、対話をしてみてください。具体的な「ありがとう」によって、良好な関係を築いて共創パートナーとして課題を解決していくことができます。ぜひ明日から具体的な感謝で会話を始めてみてください。

一流は、具体的な感謝を伝える
すべてのコミュニケーションは相手に興味関心を持つことからスタートする

「ダ行」をよく使う人は非効率

実は、話す言葉を変えるだけで、時短を叶えることができます。

我々クロスリバーでは、39社のクライアント企業に協力してもらい、2.1万人の発言の履歴を調査・分析しました。会議室にカメラを置いて録画したり、オンライン会議の録画データ2.8万時間を解析したり、メールやチャットの文章を解析したりと、あらゆる情報を人間の力とAIを使って分析しました。

ダ行に多い「だけど」「でも」「どうしても」といった否定語ばかり使っていると、議論が進まなかったり、ときには人の反感を買ってしまったりして、物事がうまく進みません。「お疲れ様です」、「ありがとう」、「いつも」といった言葉で話を始めるのが一般的でしょう。2.1万人の調査でも、こうした「ア行」で話し始める人が多かったです。

こういった、礼儀としての「お疲れ様」や「ありがとう」はもちろん重要です。しかし、残念ながらそれだけでは圧倒的な成果を残すことはできません。

605社を調査すると、タスクの7割以上が同僚からの協力が必要であることが分かりました。限られた時間で突出した成果を出すためには、挨拶以上の何かをしないと他人を気持ちよく巻き込むことができません。