一流は「サ行」を使う

一流の人が、話し始めによく使うのは「サ行」です。具体的には、「そうだね、さらに、そもそも、素敵だね、素晴らしい」といった言葉です。サ行で始まる言葉は、多くの場合深みを持っています。

越川慎司『時短の一流、二流、三流』(明日香出版社)
越川慎司『時短の一流、二流、三流』(明日香出版社)

例えば、「そもそも、このプロジェクトの目的は何でしょう?」と問いかけることで、会議の全体像を見つめ直すいいきっかけを作ることができます。実際、評価上位のリーダーが仕切る社内会議では、前半に「そもそも」という発言が入る確率が他のリーダーより高いです。また、アイディア出しの会議、いわゆるブレーンストーミングでは、「さらに」が使われるといい案が出やすいことが分かりました。

18社で行われた新規商品に関するブレーンストーミングを記録し分析すると、のちにヒットする商品の企画は、誰かの「乗っかりアイディア」であることが多いことに気づきました。「これまでの半分の大きさに……」というアイディアに乗っかって、「さらに小さくして一口で食べられるようにしてもいいのでは」と発言したものが具現化されてヒット商品になったという感じです。

最初のひと言は「そうだね」で始めるべき

試しに218社で、課題解決会議の前半では「そもそも」を使い、ブレーンストーミングでは「さらに」を使うのがいいとアドバイスしたところ、実際に発言した人の71%が何かしらの効果があったと答えました。「そうだね」で始める会話は、相手の意見や感情に対する共感を示す素晴らしい手法です。これによって相手は自分が理解されていると感じ、心を開きます。

「そうだね」は意見を出してくれてありがとうという意味の反応であり、それを採用するかどうかは別と考えるのが一流です。「そうだね」でまず反応して、その後に評価軸を決めて決断するのです。「そうだね」のファーストリアクションによって、結果的に多くの意見を引き出すことができます。

言葉はただのツールではありません。一言目の印象が、その後に与える影響は計り知れないほど大きいのです。

一流は、サ行で話し始める
相手のことを考えて、協力を得るための言葉を選ぶ
【関連記事】
【第1回】なぜ一流はメールの返信が早いのか…三流は後回し、二流はすぐ返信、一流がやっている「メール術」とは
「血液型で病気リスクがこんなに違う」O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍…という血液型とは何か
「それって感想ですよね」は理屈がおかしい…「屁理屈で論破してくる人」を一発で黙らせるシンプルな返し方
「今から行くから待ってろコラ!」電話のあと本当に来社したモンスタークレーマーを撃退した意外なひと言
中2で「初めてのセックスはどんな状況か」を考えさせる…日本と全然違うカナダの性教育