窓は構造的には建物の「弱点」
「光がよく入る、明るい家にしたいから、窓をできるだけ多くつくってほしい」そんな要望を受けることがよくあります。
ただ、実は窓というのは、構造的にいうと建物における「弱点」であり、たくさんつくるほどデメリットが大きくなってきます。例を挙げると断熱性能、耐震性、メンテナン性、収納性、コストパフォーマンスといった点が、低下していくのです。
窓の本来の役割を考えてみると、次の4つになるかと思います。「自然の光をとり入れる」「景色をとり入れる」「出入りする」「通風をうながす」。
この4つさえ満たせれば、窓の数が少なくとも、十分快適に暮らしていけます。
窓は、「必要最小限の数」を「適切な場所」に計画するべきというのが、私の基本的な考え方です。「なんとなく」窓という弱点を設け、住み始めてから「いらなかった」とならないよう、必要性を吟味しましょう。
吹き抜けを憧れだけで取り入れるのは後悔のもと
注文住宅の設計で、定番のオーダーといえば「吹き抜けがほしい」というものです。ただ「なぜほしいのか」と理由を聞くと「憧れていた」「広々しそう」など、なんとなくのイメージから依頼する人が多いようです。
ここで吹き抜けのメリットとデメリットを考えてみましょう。
吹き抜けがあれば、空間が縦に広がって開放感が出ますし、採光や通風の面でもメリットがあります。1階と2階の空間的なつながりができ、コミュニケーションもとりやすくなります。
一方のデメリットとしては、まず冬に暖房がききづらくなります(高断熱、高気密住宅を除く)。また、音やにおいが上階に伝わりやすくなるのも、人によってはデメリットです。
構造的に見ると吹き抜けは弱点といえ、耐震性が下がります。それを補うべく、新たな柱や補強材が必要になることもあります。これらを知らずに吹き抜けをつくり、後悔する人は意外に多くいます。メリットとデメリットを天秤にかけてしっかり検討しましょう。