ペットが元気なうちに「終活」をしてほしい

ペットの死が家族(ヒト)の死と同じくらい辛く悲しいと感じる人も増えています。筆者も愛犬や愛猫を失くした経験があるので、その気持ちはとてもよくわかります。長い時間を共に過ごし、愛情を注ぎあったペットだからこそ湧き上がる特別な感情といえるでしょう。

写真=iStock.com/Solovyova
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前述した2つのケースにあるように、ペットを心のより所と強く依存している人ほど、ペットロスの症状が重度化しやすい傾向にあります。また、後悔の念が強い人も同様です。しかしながら、愛する存在を失っても自分の人生や現実の生活は続いていきます。できるだけペットロスを軽減し、ペットとの思い出を胸に生きていくことが大切だと考えます。

筆者は人間の葬儀社や霊園に勤めた経験があり、かなり以前からペット情報サイト「ペトハピ」で「ペットの終活」を勧めています。人間の終活と同じように「ぺットが元気なうちにさまざまな準備を整え、いまをより楽しく幸せに過ごすことで、ペットを失ったときの後悔を減らすことができる。その分だけ心穏やかに『ありがとう』という感謝の気持ちを添えて、愛するペットを見送ることができたら」と考えているからです。

真の「ペットとの共生」が喪失感を軽減する

一般社団法人日本国際動物救命救急協会では、「トライアングル講習会」を定期的に開催しています。この講習は、家族である動物の命が虹の橋を渡るまでのプロセスで飼い主が体験する以下の3つのケアを遭遇前に具体的にイメージし、可能な限り、ペットの痛みや苦しみの軽減、飼い主の悲観による生活の質の低下を予防することを目的としています。

・終末ケア(命の終末に向かうペットと家族への段階的な様々なケア)
・祝別ケア(命の終末を迎えたペットと家族の準備と心のケア)
・命のケア(魂となった命や新しい命に対する向き合い方やケア)

認定資格を取得する講習会ではありますが、一般の飼い主にも学んでほしいと呼びかけています。「避けることができないプロセスを先読みしておくことで、段階的な心構えと準備することの大切さ、祝別後もペットが去ったことによる感情の変化などを自分のペースで取り戻し、日常を継続的に迎えることができるかもしれない」としています。

「ぺットの終活」や「ペットロス」について学ぶことは、「愛するペットとのかけがえのない時間をどう生きるのか」ということを考える機会にもなります。できるだけ後悔をしないためにいま何をすればよいのか冷静に考え、1つ1つ実践していくことが大切です。

ペットに依存するのではなく、家族として支え合い、共に充実した幸せな時間を過ごすことが、真のペットとの共生だと筆者は考えます。それがきっとペットロスを軽減する役割を担ってくれることでしょう。

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