チワワが相次いで急死し、自死を考えるように

愛知県に住む30代のSさん(女性)は、結婚を機にチワワの姉妹であるグリちゃんとグラちゃんを飼い始めました。子供がいないこともあり、可愛い洋服を着せたり、手作りのご飯を食べさせたり、わが子同然に愛情をかけて育てていました。

しかし、姉妹が5歳になった頃、グリちゃんが心臓病で急死。その1カ月後にグラちゃんも突然死してしまったのです。愛犬2匹を相次いで失くしたSさんは、あまりの喪失感から塞ぎ込むようになります。そして、何もしてあげられなかったと後悔の念に苛まれるようになりました。Sさんは毎日を泣いて過ごし、次第に「死にたい」「消えたい」と口にするようになりました。ご主人は心配になりSさんを病院へ連れて行きましたが、なかなか改善されませんでした。

ある日、出張から戻ったご主人は、寝室で多量の睡眠薬を飲んでぐったりしているSさんを発見しました。「グリちゃんとグラちゃんのもとへ行きます」と書かれた手紙が傍にありました。幸い発見が早くSさんは助かりましたが、その後も自死を考え続けました。約7年間メンタルケアを受け、精神的に不安定な日もありますが、少しずつ快方に向かっています。

「ペットロスになった人」は6割に上る

では、実際にペットロスになった人はどの程度いるのでしょうか。2023年9月、アイペット損害保険は、犬や猫を亡くした経験があり、現在はペットと一緒に暮らしていない1000人を対象に「ペットロスに関する調査」を実施しました。

この調査では「愛するペットを失ったことによる悲しみや喪失感と、それに伴う心身の不調」をペットロスと定義していますが、実際にペットロスになった人は約6割。また、「自覚があった」という人は7割を超え、前回の調査(2017年)よりも大幅に増加した結果となりました。

【図表4】ペットロスになったか
出典=アイペット株式会社「ペットロスに関する調査
【図表5】亡くなったペットに対して後悔していること
出典=アイペット株式会社「ペットロスに関する調査

また、「亡くなったペットに対して、後悔したこと/後悔していることはなんですか?」の質問に対しては、「もっと何かできたのではないか」「一緒の時間の過ごし方」「最期の時間の過ごし方」と回答する人がそれぞれ4割を超えるという結果でした。