世界販売トップ「BYD」は年間15万台生産を目指す

前述の通り、今年1月18日には中国EV最大手のBYDもインドネシアへの進出を表明している。

BYDは2022年に70を超える国と地域で約186万台のEVを販売し、アメリカのテスラを抜き「EV販売台数世界一」となった。

同社はインドネシア国内に工場を建設する計画で、その投資額は13億ドル(約1900億円)、生産能力は年間15万台となる見込みという。

ウーリン、BYDのほか、上海汽車傘下のMGも今年2月の生産開始を発表するなど、中国EVメーカーのインドネシア進出が続いている。

米国市場から締め出され、東南アジアに活路

その背景には、中国国内での熾烈しれつな競争がある。

中国ではEVメーカーがすでに100社以上も乱立しているともいわれる。需要の伸びを上回る熾烈な販売競争が繰り広げられているのが現状だ。

さらに、米国で2022年に成立したインフレ抑制法により、中国EVメーカーは米国への輸出が事実上閉ざされた。

中国EVメーカーとしては、国内の過当競争から抜け出すために、成長が期待される東南アジア市場に活路を求めざるを得なくなっている。

インドネシア政府は「EV生産のハブ」を目指し、外国の自動車メーカーに対し税優遇などの措置を取っているが、これも中国メーカーには魅力に映っている。

写真=iStock.com/MikeMareen
中国EVメーカーは米国への輸出が事実上閉ざされた(※写真はイメージです)