少年院に行くことも支援の一つ

そんな状態が改善しないこともあり、結局この子は事件を起こし、少年院に行くことになりました。

私はある上司から、関わっていた子が少年院に行ったということは、立ち直り支援が失敗したということだねと言われたことがあります。

確かに、少年院に行かないように食い止めることが、警察である私たち少年育成指導官の責務なのかもしれません。

堀井智帆『非行少年たちの神様』(青灯社)

でも私は、少年院に行くことは「結果」だとは思っていません。少年院に行くことそのものが一つの「支援」なのだと考えています。

少年院は更生支援のための重要な社会資源の一つです。子どもの状況に合わせて、更生するために少年院でのプログラムや時間が必要ならば、少年院を活用して更生を目指すべきなのです。

子どもたちは、少年院の中で様々な気付きを得ます。悪いことをしたから罰で罪を償うために少年院に行くのではなく、そこで彼らが気付きを得て、更生の機会を得る場所が少年院です。

少年院自体が支援です。だから今も支援の途中です、と、私は上司に伝えました。

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