「ステレオタイプ」とは、人種や性別、年齢などに関する決めつけのこと。

「この人種はあの人種よりもスポーツに長けている」
「男子の方が理系分野で優秀である」

こうしたステレオタイプは、科学的に誤りだと示されても、まだまだ根強く社会に残っています。

「ステレオタイプの脅威」とは、そうしたネガティブで誤ったステレオタイプでも、それを意識することによって、その通りの悪影響が現れてしまう現象です。たとえば、「女性は理系に向かない」。これは誤ったステレオタイプですが、まだまだ根強く意識されています。

子供の能力や性格を決めつけてはいけない

たとえば、女子高生のサクラさんが数学のテストを受けます。テストの初めに自分の性別をチェックする項目があり、サクラさんは「女」をマークして、テストを始めていきます。

そして非常に興味深いことに、サクラさんがこのように自分が女性であることを意識してテストを受けた場合、意識しない場合よりも、成績が下がりがちになってしまうというのです。

理由はシンプルで、誤ったステレオタイプでも、それを意識することによって、無意識のプレッシャーにつながり、実際のパフォーマンスに悪影響が出てくるからです。こうしたステレオタイプの脅威は人種や性別、年齢などに関するものも含めて、他にも多数存在することが知られています。

さらに、ステレオタイプなどによるレッテル貼りは、子どもの能力を決めつけて意識させることによって、固定マインドセットにつながってしまいます。

実際、「○○さん、数学むいてないから」「××ちゃん、運動音痴だもんね」などといった、親や教師の日常での何気ない言葉が、子どもたちに能力のレッテルを押し付けて、固定マインドセットに誘発してしまっていることがこれまでの研究でも明らかにされています。

そのため、子どもの能力や性格を決めつけて、今後も変わることのない固定的な特徴であるかの如く語ることには十分に注意が必要です。前述のように固定マインドセットは、子どもの成長の足枷になってしまいます。持つべきはやはり、成長マインドセットなのです。

こうした理由から、「勉強ができない」と言って子どもを育てれば、本当に勉強ができなくなってしまうと肝に銘じておきましょう。

写真=iStock.com/Hakase_
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「ポジティブな決めつけ」にも注意が必要

また、ネガティブなステレオタイプだけでなく、ポジティブなステレオタイプにも気を付けましょう。

たとえば、「しおりちゃん、小さい頃から国語ができたよね、女の子だもんね」「お父さんに似て勉強が得意ね」というような声かけ。こうした声かけはポジティブではあるものの、性別や血筋などの生まれ持って与えられた事柄にレッテルを貼ってしまいます。

自分が既に与えられた、変えることができないものに対するポジティブな期待は、時に必要以上のプレッシャーになりかねません。