採用面接で「あなたは運がいいですか?」

稲盛氏と同じく経営の神様といわれる松下幸之助氏は、採用面接の際に相手に自分は運がいいと思うかどうかを聞き、「いい」と答えた人のみ採用したそうです。人から見てどうかに関係なく自分は運がいいと思える人は、困難に直面しても前向きに立ち向かえると考えていたからだといわれています。

保手濱彰人『武器としての漫画思考』(PHP研究所)

自分で決めていいんだという考え方は、『先生の白い嘘』という漫画からも学びました。人間関係のドロドロした部分を描いた暗めの作品なのですが、その中でメインキャラクターが最後にある男性を「愛すると決める」のです。

実際の婚活などでは、「愛せる」人を探そう、だから相性のいい人や理想の人を探そうという思考になりがちです。でも、この漫画の相手を「愛する」ことを、見た目や年収などのスペックに頼るのではなく自分で決めるのです。なるほどな、そんな考え方もあるんだと気づかされました。

同じように、今の状況を自分がどう捉えるかは自分で決めていいのです。絶望も、人からどう見えようが自分で「絶望的状況じゃない」と決めていい。その意味でも、絶望を学びの場や視点を切り替える機会だと捉えることはとても大事です。絶望を絶望だと捉えていると、余計それによって落ち込んでしまいますからね。

自分を責めなくていい

絶望的状況に陥ったときは、真面目な人ほど自分を責めてしまいがちです。そういう人は責任感も強いですから、自分の考え方や行動が今のひどい状態を招いたと考えてますます自分を追い込んでしまう。

そんな人に対しては、自分で自分のことを許していいんだよ、絶望を経験してこそ学べることがあるんだから今はいい状況なんだよと、周りの人が諭してあげることも必要かなと思います。今回の記事が、視点を切り替えるきっかけや絶望的状況から立ち上がる力につながることを願っています。

(構成=辻村洋子)
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