紙ストローへのシフトで先陣を切ったスタバ

セブンは2013年にカウンターコーヒー「セブンカフェ」を開始し、業界に一大旋風を巻き起こした。挽きたて・れたてのコーヒーはたったの100円でありながら、「1杯数百円のスタバに匹敵するほどおいしい」と評判になるほどの本格派だった。

当初、ストロー棚に置かれていたアイスコーヒー用ストローはPP製だった。

それから2年後、ウミガメ動画の拡散で脱プラ運動が広がり、ストローが集中攻撃を受けるようになった。ここから紙ストローへの大シフトが始まった。

写真=iStock.com/Chiemi Kumitani
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先陣を切ったのはイメージ戦略を重視するスタバだった。2018年7月にPP製ストローの全廃を宣言し、2020年中に世界中の店舗で紙ストローを導入すると表明した。それに従って日本でも紙ストローへ全面移行している。

ただしプラストローを廃止したわけではない。顧客からリクエストがあれば、生分解性プラストローとの交換に応じている。

消費者に不評の紙ストローは姿を消していく

その点でセブンは出遅れているわけではなかった。ほぼ同じタイミングで環境配慮型ストローへの全面シフトを目指していた。

日本のスタバで紙ストローの導入が始まった2020年1月より少し前のことだ。日本ストローがカネカと進めていた共同開発プロジェクトがちょうど終わり、PHBHストローの量産体制が整った。

それを受け、セブンは2019年11月から日本ストロー製PHBHストローと海外製紙ストローを全店舗で順次導入していった。

ただし、セブンカフェから紙ストローは徐々に姿を消していった。消費者からの評判が芳しくなかったからだ。スタバと違ってセブンは「イメージ」よりも「実質」を取ったといえる。

消費者は今でも紙ストローに不満を抱いているようだ。それは本コラム連載からも裏付けられた。岡山のストローメーカー、シバセ工業を取り上げた記事〈「うちは紙ストローは作りません」岡山の日本一のストロー会社が「脱プラ運動」に真っ向から対抗した結果〉は読者の共感を呼び、プレジデントオンライン2023年上半期(1~6月)のビジネス部門ランキングで1位に躍り出たのだ。

日本ストロー製PHBHストローは現在、カウンターコーヒー用としてセブンの全店舗のほか、ファミリーマートの一部店舗でも採用されている。