止めたい衝動にかられたが…
隣ママが言っているのは「食べながらおもちゃを触るのはダメ。食べるなら先に食べなさい。おもちゃで遊びたいならこの料理は片付けてもらう」という内容でした。おもちゃはおそらく、お子様プレートについてくるオマケのおもちゃのことだと思われます。
隣ママに言われるたび、子どもは「食べるー」と答えたりしていました。でも常に隣ママが先に「どうすんの! ポテトは食べるの⁈ 食べないと冷めちゃうよ‼ 食べないなら片付けてもらう‼」とかなんだかんだ言ってくるので「うやああああ」と泣き出し、それでも隣ママは「泣くなら帰る! 食べるの、おもちゃで遊ぶの、どっち!」という、どうにもならない質問を浴びせ続けます。
私たちが着席してからずっとそんな調子なので、これはもう、親子の会話とかしつけとかじゃなくて、子どもに難癖をつけて絡んでいるだけであり、シンプルに虐待と言っていいのではないかと思いました。
盗み聞きしたくないのにどんどん耳に入ってきて、こっちが朦朧としてくるようなレベルなので、私は立ち上がって隣ママに向かってこう言いたい衝動に駆られました。
「もういいじゃないですか、大人だってスマホをいじりながら牛丼食べたりしてますし。小さい子がおもちゃで遊びながら食べるの、ぜんぜんOKだと思いますよ。大丈夫! だからもうやめてあげて〜」
だけど、私も自分の子どもたち(小学生2名)を1人で連れてきていて、自分の家族の食事をしながら、全く見知らぬ隣の席の人に「その言動、慎むべし」みたいな注意をいきなり言い放つ、という行動を気軽に取れる状況ではありませんでした。
全く知らない人の言動を、直接、口頭で注意するって、向こうの反撃に遭う可能性もある。逆に私自身の頭に血がのぼってしまうこともある。「ていうかパパ! さっきからどうしてこの状態を放っておいてるんですか⁈ なんで何も言わないんですか⁈」とか余計なこと言っちゃう可能性もある。
目の前で母親が知らない人とけんかしだしたら自分の子どもたちに怖い思いをさせるし、いろんな展開が予想されるので、とてもじゃないけどできない、と思いました。
「私vs.隣ママ」の構図は避けたい
「お店の従業員に伝えて、間接的に注意してもらう」という案も、頭に浮かびました。
でも、店内中に響き渡っているはずなのに、他のお客さんや店員さんは気にしている素振りがなく、私が何か行動を起こしたら「私vs.隣ママ」という孤立した戦いの構図になりそうなのもすごく気が重かったのです。
もし遠くの席の人や店員さんがチラッとこっちを気にしている気配があったら、違っただろうと思いました。