「一人暮らしの高齢者」はリスクが高い

精神疾患、中でも特に認知症と、孤立感や孤独感といった要因を考えると「一人暮らしの高齢者」は、ディオゲネス症候群のリスクが非常に高いといえます。実際に、ごみ屋敷や動物の多頭飼いが問題化する人の多くは、一人暮らしの高齢者です。

一人暮らしの高齢者は、ただでさえ、家をきれいに保ったり、身の回りをきれいにしておくことのハードルが高くなるものです。掃除をしたりごみを捨てたりするのに必要な体力が衰えていきますし、孤立すると、助けを求めることも難しくなります。

女性のほうが、高齢による体力の衰えは顕著になりますが、男性のほうが、仕事以外のつながりが少なく孤立化しやすい傾向があるため、男女ともにリスクはあるといえます。また、いくら若い時にきれい好きであっても、まったく関係なく、体力の衰えや孤立化の進行などに伴って身だしなみに構わなくなったり、部屋を片付けなくなってごみをためるようになったりするので、誰でもなる可能性があると考えておいた方がよいでしょう。

実家ではココを確認

「ディオゲネス症候群」が進行すると、治療は一筋縄ではいかなくなります。だからこそ、重要なのは早期発見、早期対応になります。

「あれ?」と思った瞬間から手を打つことが重要です。ぜひ年末年始の帰省で、親御さんや実家の様子をチェックしてほしいです。本人の体の状況と、家の中の様子の、両方をしっかり確認するようにしてください。

①体力が落ちていないか

体力が衰えると、身だしなみを整えたり家の中を清潔に保ったりするのがおっくうになってしまいます。ですから、身体面の変化には、しっかり気を配ってほしいと思います。

例えば、今までは手すりを使わずに階段を上っていたのに、手すりを使うようになった。歩くスピードが遅くなった。立ったり座ったりがつらそうになった。こうした兆候があった場合は、掃除機を軽いものに買い替える、片付けがしやすいように部屋のレイアウトを変更する、場合によっては狭くて段差のない部屋への住み替えを考えることなどを検討した方がいいかもしれません。ご近所に、ごみ出しのサポートをお願いしてもよいでしょう。

②押し入れやベランダも忘れずに確認する

掃除には得手不得手がありますが、明らかに散らかっていたら要注意です。定期的に掃除できているか、ごみがたまっていないかについても、気にしておきましょう。

また、居間や寝室など、普段いる場所はきれいでも、どこかにごみをため込み始めている可能性はあります。押し入れ、ベランダ、裏庭、物置きなども、忘れずに確認してみてください。ごみを捨てに行くのがおっくうになり、ベランダにごみを置くようになるところからごみ屋敷化が始まることもあります。