まずは地域包括支援センターに連絡を

少しでも異変に気づいたら、親が住む地域の「地域包括支援センター」に連絡してください。

地域包括支援センターは、自治体が設置する施設で、ケアマネジャー、社会福祉士、保健師など介護、医療、福祉のプロがいて、高齢者に関するさまざまな悩みを相談できます。相談すると、必要に応じてケアマネジャーなどの担当者が家に来て本人の状況を確認し、どうしたらいいかアドバイスしてくれます。「高齢者が一人暮らしをしていて足腰が弱っているので見守ってほしい」「どんな方法で見守ることができるか教えてほしい」といった相談もできますし、認知症に関する相談にも乗ってくれます。

すぐに介護や医療の介入が必要ではないと判断された場合でも、担当者が定期的に様子を確認し、何かあれば子どもに連絡をくれるようになります。特に、親と離れて生活している場合は、ぜひつながっておきたい窓口です。

治療には時間がかかる

ディオゲネス症候群の治療は非常に困難です。特徴の一つに挙げたとおり、本人には自覚症状がないので、一筋縄ではいきません。精神科や心療内科にも連れて行こうとしても、本人は抵抗するでしょう。セルフネグレクトにより、病気やケガをそのままにしている可能性も高いので、そこから「健康診断に行こう」「皮膚科で傷を診てもらおう」といった話をして、まずは医療とつながるきっかけをつくるのも手です。

いずれにせよ、まずは本人と信頼関係を築くところから始める必要があります。「不潔だから何とかしなさい」「周りに迷惑がかかるからやめて」など、現状を批判したりすると、余計に抵抗するばかりです。

時間をかけ、おだやかに雑談ができるような関係性をつくり、「この人の話なら聞いてみよう」と思ってもらうことが必要です。そこから、「もし火事になって、あなたがいなくなったらつらいから」「あなたが病気になったりケガをしたりするのが心配だから片付けましょう」など、「あなたのことが心配だから言っていますよ」という切り口で話をしていきます。