大学陸上部の金銭関係はクリーンか

スポーツ界を取り巻く環境は変化している。NCAA(全米大学体育協会)は、選手たちが自身のパブリシティー権を使って収入を得ることを認めた。協会や大学が巨額の収益を得るのに選手に還元されないのはおかしい、という声が上がったからだ。箱根駅伝も変わっていく可能性がある。

撮影=プレジデントオンライン編集部
都内電車内で掲出された99回大会の中吊り広告

現在、箱根駅伝に出場するチームの収入面でいうと、ユニフォームのサプライヤー契約が最も大きい。大手外資系企業の場合、年間で3000~5000万円のサポートがあるという。一方で、国内メーカーとのサプライヤー契約はウェアだけの提供が中心であるケースが多い印象だ。

酒井政人『箱根駅伝は誰のものか「国民的行事」の現在地』(平凡社新書)

2021年からはユニフォームにスポンサーの広告ロゴを表示できるようになった。数百万円から1000万円ほどが相場だが、他にも人気チームには各メーカーから広告絡みのオファーが舞い込んでくる。そういったお金は大学ではなく、陸上部との契約になるため納税義務はない。ただし、個人に支払われているギャラがあるとすれば、それは別問題だ(有名監督になれば個人会社を設立して税金対策をしている)。

昔のプロ野球選手ほどの規模ではないが、有力選手獲得のためには、高校の指導者に裏金が渡されるケースもあるようだ。その場合、他の大学は完全にブロックされるため、高校を通さず、直接、家族のもとに向かい、なおかつ金銭を渡しているスカウトもいると聞く。一部ではモラルが完全に崩壊しているようだ。

箱根駅伝で巨額なお金が動くことが明らかになっている以上、主催者である関東学連は財務内容を明らかにする必要があるのではないだろうか。それから各陸上部、指導者の税金問題は大丈夫なのか。箱根駅伝が美しいままでいるためには、お金の問題をスッキリさせなければいけない気がしてならない。

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