バブル崩壊の負の影響は日本以上か
いずれも中国の設備投資、直接投資の減少要因だ。その中で不動産デベロッパーのデフォルトや経営破綻のリスクが高まれば、中国経済の下押し圧力は強まる。個人、企業経営者の心理は追加的に冷えこみ、デフレ圧力は強まるだろう。
それが現実となれば、地方政府の債務リスクは上昇する。懸念されるのは、財政悪化によって年金や医療など社会保障制度の維持が困難になる地方政府が増えることだ。中国では都市戸籍と農村戸籍によって、享受できる社会保障に差がある。財政余力のある地方政府と厳しい自治体を統合し、社会保障制度の持続性を高める方策も理論的には考えられる。
しかし、住人の反発などを考えると実現のハードルは高いだろう。中国の不動産バブル崩壊はデフレ圧力の高まりなど経済の悪化にとどまらず、社会保障不安につながる恐れもある。それは、わが国が経験しなかったバブル崩壊の負の影響だ。当面、中国は世界経済の足を引っ張ることになるだろう。