漠然とした顧客の感想文を数値化する

顧客満足度については、アンケートをとって情報を収集する場面も多いと思います。そのときに、例えば数値ではなく、感想文だけの回答があったとしましょう。

感想文を一つ一つ読んで、評価を数値化するのは非常に難しく、大変な作業です。しかし、ChatGPTの力を使って、参考となる指標を得ることが可能です。

具体的な方法は、「図表2」で示しています。

感想文を数値(点数)化するためには、指標が必要です。ここから、ChatGPTに聞いてしまいましょう。「顧客の感想を数値化できる項目を10個ほど出してください」と聞けば、項目を出してくれます。「感動度:10段階評価」などサンプルを与えると、適切な回答をする可能性を高めることができます。

「図表2」のケースでは、「購入意向」や「利便性」など、実際に分析で役立ちそうな項目を得ることができました。

ChatGPTが回答した項目をベースに、次のプロンプトで実際に感想文を読み込ませ、数値化させてみます。試しに、ダミーで用意したビールの新商品に対する感想文を10個、ChatGPTに与え、分析してもらいました。

田尻望『「キーエンス思考」×ChatGPT時代の付加価値仕事術』(日経BP)

結果、10点満点でしっかり点数を出してくれました。参照したコメントを引用するなど、理由も示してくれています。また、10個の感想文に言及がない項目は「未評価」としているのも、一定の信用ができるところです。

点数が確実に正しく評価されているとは断言できないので、この結果を絶対的な顧客の評価指標として使うことは避けた方がいいです。また、経営の根幹に当たるような重要事業について、今後の戦略の根拠を得るようなケースでは、これだけでは不十分です。一つ一つの感想文を分析し、精緻な情報を得ることが必要になるでしょう。

しかし、情報の分析から大まかな傾向を得たいときや、社内でのアピールなどに使う参考指標の一つとしては活用できます。少なくとも、感想文を文章のまま漠然と傾向を把握するよりは、はるかに有用で時短につながります。

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