ChatGPTは仕事に役立つのだろうか。元キーエンスの田尻望さんは「ChatGPTを利用すれば、仕事のスピードと質は異次元のレベルになる。私が教えたChatGPTの使い方をマスターした人の1年後に、私は生身では勝てないだろう」という――。

※本稿は、田尻望『「キーエンス思考」×ChatGPT時代の付加価値仕事術』(日経BP)の一部を再編集したものです。

チャットGPTモバイルアプリ
写真=iStock.com/Kenneth Cheung
※写真はイメージです

ChatGPTの登場で「異次元の差」が生まれる

本書ではChatGPT(などの生成AI)が仕事で活用されるようになるこの時代に、最速、最短で成果を上げていくためのノウハウを紹介します。ChatGPTを使える人とそうでない人の差は、従来の仕事ができる人・できない人というレベルとは異次元の差になっていきます。使いこなせる人の中でも、作業を効率化するだけのツールとして使うのか、成果に直結する使い方ができるのかで、さらに差が付くでしょう。

分水嶺となるキーワードは、私が新卒で入社したキーエンスという企業の考え方に基づく「付加価値」です。キーエンスは「最小の資本と人で最大の付加価値をあげる」という経営理念を掲げ、そして営業利益率50%以上という脅威の結果を出しています。

この、成果の肝となる付加価値をつくるために、実はChatGPTを大いに役立てられるのです。これは断言しますが、付加価値創造にChatGPTなどの生成AIを使える人“だけ”が今後、飛躍的に成果を上げられる人材になっていきます。

私はキーエンスから独立した後、一度起業に失敗し、7年前に再度起業をしました。現在は経営コンサルタントとして、年商数十億円規模から数百億円規模の企業のセールスやマーケティング事業のコンサルティングをし、お客さまの付加価値向上に貢献しています。その中では、経験したことがない領域を含め、多岐にわたる業界やビジネス課題に関する情報を迅速に集め、解決策を提案することが求められます。コンサルティングファーム出身ではないので、独学で日々問題解決のための調査をし、仮説を立て、改善を行っていく。その繰り返しの日々でした。

単なるコンサルタントは必要ない

そんな私ですが、ChatGPTとの出合いは衝撃でした。

例えば、特定の業界の動向や改善事例などの情報が必要なとき、ChatGPTに質問すると、即座に大まかな答えや有益な情報が手に入ってしまったのです。また、新たなビジネスモデルやアイデアを考える際も、ChatGPTと「会話」を重ねることで多角的な視点が生まれ、自分の発想がアップデートされたのです。部下の育成やチームビルディングの課題に直面したときも、ChatGPTが第三者の視点からアドバイスをくれました。

2023年3月14日(現地時間)に発表された「GPT-4」(ChatGPTの基盤となる大規模言語モデル)を数時間使ってみて、まず「ChatGPTの使い方をお客さまがマスターすれば、単なるコンサルタントの自分は必要なくなってしまう」と確信しました。

だからこそ私は、「遅かれ早かれお客さまもChatGPTを使う。ならば、自分自身が『コンサルタント×ChatGPT』の第一人者となり、そしてお客さまにもChatGPTの使い方をマスターしてもらい、圧倒的な成果を出してもらおう」と考えたのです。私が今、経営コンサルタントとしての業務を拡大し、大手の企業様からもご相談がいただける背景には、ChatGPTの活用が大いに寄与しています。