「宿題をした」と嘘をつかれたら
子どもが嘘を絶対に認めようとしないときは、本当のことを話していたとしたら親としてどんなふうに反応するか、仮定の話をするのが効果的です。
たとえば、娘の学校から電話があって、先週は作文の宿題をしてこなかったと報告を受けたとしましょう。帰宅してきいてみると、娘は何度も、「宿題はやったもん! やったってば! この話はしたくない!」と言ってゆずりません。
まず、すこし立ち止まります。そして、すこしでも話を聞いてもらえそうな雰囲気があれば、こう声をかけましょう。
「うん……わかったよ……あのね、ママ/パパが言いたかったのは、うちの子どもが何日間か宿題をしなかったとしたら、心から理解しようとするだろうなってことなの。なぜって、うちの子が宿題をしないってことは、何か必ず理由があるはずだから。ママ/パパも、7歳のとき、何日間も作文の宿題をしなかったことがあってね。作文がすごく難しく思えて、やる気になれなかったんだ。とにかく、もし宿題をしなかったんだとしたら、一緒に話し合うからね。怒ったりしないよ……」
そして、涼しい顔で待ちます。「で、ほんとは宿題さぼったんでしょ?」と言ったりはせず、ただ次に進みます。子どもがちゃんと受けとってくれたと信じてください。もちろん、もっと時間を置いてから、こう言うこともできるでしょう。
「ねえ、作文って難しいよね。少なくとも、ママ/パパは苦手だったな。宿題をしなくったって、あなたはいい子だよ。大好きだよ」
話に耳を傾けてくれている感じがあれば、さらにこう付け加えるとよいでしょう。
「もし、すごく難しくて、手をつけられないと思うことがあったら、どうしたらいいかな」
正直になるために何が必要かを聞く
自分の考えを多少なりとも言語化できる年頃になってからの方法ではありますが、嘘をつくことで困っているなら、嘘とはまったく関係のないときに、正直になるために何が必要か、真剣に話し合ってみましょう。
「ねえ……ちょっと話したいことがあるんだけど、いいかな。怒ってるんじゃないよ」
このように話しはじめて、つづけてみましょう。
「親に本当のことを話すのって難しいだろうなって考えていたの。あなたを責めているわけじゃなくて、あなたが正直になるためには、もっとママ/パパにできることがあるんじゃないかって。本当のことを言うのが怖いとか、本当のことを言ったら面倒なことになるとか思ってるかな。ママ/パパがもっと変えたほうがいいことは何か、考えているんだ。なぜかというと、よくないことでも、あなたが本当のことを話せるような家族でいたいから」