子供のウソを願いだとみなす

嘘を願いとみなすことで、わたしたちは、自分の子どもを「内側ではよい子」として見つづけることができます。このことは、嘘に対応する上で非常に重要です。願いを前提にした表現で、子どもの嘘に返答することで、「真実を話す」と「嘘をつく」以外の選択肢が生まれ、会話の方向性を変えることができます。二項対立ではなく、そのあいだのグレーゾーンを理解し、言葉にすることにより、その瞬間の緊張をほぐし、新しい方法で子どもとつながることができます。

子どもが「わたしもフロリダに行ったことがある!」とありもしないことを言い出したら、あなたはこう言うことができるでしょう。

「うーん……フロリダに旅行したかったなあと思っているんだね。天気がよくて、あったかそうだもんね。行ったら何をしようか?」

子どもが「妹のタワーを倒してないよ、勝手に倒れたんだ!」と言ったら、あなたはこう言うことができるでしょう。

「タワーが倒れなかったらよかったと思っているんだね……」

または

「ママ/パパも、こんなことしなければよかったと思うことがあるよ。そういうときは、とてもつらいよね」

嘘を願いとみなすことで、わたしたちは子どもと敵同士ではなく、同じチームにいると感じられるようになります。こうして視点をシフトさせることにより、変化を起こすことができ、次に同じようなことがあったら、子どもは本当のことを言いたくなるかもしれません。

ただうなずき、子供の行動の意味を振り返る

うちの子どもたちに対して(もちろん、ときどき嘘をつきます!)も、よく使う方法です。5歳の息子が相手のときは、たとえばこんな感じです。

息子「ママ、パズルを壊してソファの下にピースを隠したのは、ぼくじゃないよ! ぼくはやってない!」

わたし「ふうん……」

ほかには何も言わずに、ゆっくりうなずく。

息子「やってないもん!」

なぜ、わたしが何も言わないのかって? なぜなら、息子は明らかに自己防衛モードに入ってしまっていて、罪悪感、恥、またはその全部を抱いていて、そのせいでシャットダウンしているからです。

こうなってしまったら、言い合ってもむだだということをわかっていますし、権力争いには持ちこみたくないし、あとでよい変化を起こす余地を残すためには恥を軽減しなくてはならないことを知っているからです。数時間後、わたしは息子に、「悪い」行動のいちばん寛大な解釈(MGI)を伝えて、正直になるきっかけを与えます。

「ねえ、さっきママがお兄ちゃんと作っていたパズルのことだけど……リビングに来て、パズルを見たとき……んー……つい、さわりたくなったんだよね……わかるよ……」

正直に申し上げますと、この段階でも、息子はこう言うでしょう。

「やってない、やってない、やってない!」

そうしたら、わたしは何もせず次に進みます。でも同時に、自分自身で、さっきの出来事を振り返ってみます。この子の嘘の、本当の意味は何だったのだろうか。嘘を通して、もっと自主性が欲しいと「伝えて」いたのだろうか。上の子と一緒に遊んでいたからやきもちをやいたのだろうか。それとも、いい子でいることのプレッシャーで息苦しく感じていたのだろうか。

行動の意味を振り返るとき、わたしたちは、ほかの介入方法の基礎を見つけることができます。