性犯罪、強制性交で起訴される人は100人に1人だけ

ドイツの場合だと、被害者が30歳になるまで時効をカウントしません。時効までの期間も20年、30年とあるので、実質的には時効はないに等しい。PTSDの患者さんの心の傷は一生治らないこともあるんです。

それなのに、加害者のほうは5年や10年で「ハイ時効です。無罪放免、お咎めナシ」なんてことがあっていいのかという話です。

日本では性犯罪にあったり強制性交されたりした人のわずか3.7%しか警察に被害届を出していない(警察が面倒くさいから受理しない結果でもあるのですが)という内閣府の調査があります。

にもかかわらず、起訴されるのはその中のたった3割ですよ。つまり100人に約1人というわけです。

日本の警察というのは、一時停止違反を物陰に隠れて見張りながら3人がかりで捕まえるくせに、ストーカー被害の相談に行くと、「いま人手不足で忙しくってね」と体よく追い返す。だいたい刑事ドラマっていうのは、いかにも警察が働いているように見せるために作られると私は考えています。

言ってみればテレビ局から警察への賄賂みたいなものですよ。自分たちの年収を守るために取材費をケチって自分たちで取材しようとせず、警察の情報に頼って番組を作るものだから、忖度そんたくしまくっています。

だけど、テレビドラマみたいに熱心に仕事する刑事や警察官なんて、実際にはそうはいません。

実質的に被害者が100万円で売春したようなもの

交通違反は金になるから取り締まるけれど、一文にもならない事件なんて捜査する気もない。

和田秀樹『和田秀樹の老い方上手』(ワック)

性犯罪なんて調べるのも面倒くさがって、「向こうも金を払うって言っているんだから」って、たった100万円やそこらの金で示談を強要する。これは実質的に被害者が100万円で売春したことにするようなものじゃありませんか。

「私は示談なんかにしたくありません」と言っても、「でもねぇ……証拠そろえられないし、起訴は難しいねぇ。示談にしなさいよ」と被害者を誘導するという話も聞きます。

性犯罪というのは本当に憎むべき犯罪です。厳罰化・重罪化する以外に予防する手段はないし、それしか被害者を救う方法はありません。見て見ぬふりをした人も罪になるよう法整備することも重要です。

日本のフェミニストは女性の管理職や政治家を増やせというが、そのような動きはほとんどしてくれません。いずれにせよ、ジャニーズ事件に関してはテレビ局も共犯者として同罪に問われ、告発されてしかるべきではないでしょうか。

本稿ではジャニーズ問題を考察しましたが、本書にはこのほか健康、医者や病院との付き合い、老いを楽しむなど、面白くてためになる全32編が掲載されています。是非ご一読ください。
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