「性的な行為を強要された」暴露本を出したアイドルの末路

私がとくに不愉快に思ったのは、ジャニー喜多川という人の少年への性的虐待疑惑は昔から知られていたのに、それをマスコミがずっと黙殺し、報道しなかったことです。

今回、イギリスの公共放送BBCがこの問題を大々的に取り上げ、国連人権理事会が調査に乗り出したことで、日本のテレビ局も、やっと恐る恐る取り上げるようになりました。

いまから35年前の1988年に、元フォーリーブスのメンバー、北公次氏が『光GENJIへ』という自伝を書き、その中でジャニー喜多川に性的な行為を強要されていたことを告発しました。

フォーリーブスといえば、当時のジャニーズ事務所を代表するアイドルグループで、なかでも北公次氏は女の子たちの人気の的でした。

ところが、この告発本は芸能界から猛反発をくらい、でっち上げだ、インチキだということにされ、マスコミもいっさい無視を決め込み、結果として北公次氏は芸能界から葬り去られ、二度と表舞台に立つことはありませんでした(2012年死去)。

その後もジャニー喜多川とジャニーズ事務所に対する元所属タレントや週刊誌からの告発は断続的に続き、裁判にもなっているのに、新聞・テレビはそれらをまったくと言っていいほど報じることなく、知らんふりを決め込んでいました。

「強いものには絶対服従」がテレビ局の基本理念

ところが、海外メディアや国連が騒ぎ出したのであわてふためき、「まあジャニーさんも亡くなったことだから」と、これまでのことなどいっさいなかったかのように、いまさら「もし事実だとしたら二度とあってはならないことです」などときれいごとを言っている。恥ずかしくはないのでしょうか。

メガホンを持つ手
写真=iStock.com/Andrii Zorii
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テレビ局の人間などというものは、自分たちの年収(平均約1500万円)を守るためなら、アルコールが原因で毎年3万5000人が死のうと飲酒シーンのCMを流し続けたり(WHOはやめるように勧奨しています)、年間100人が拒食症で亡くなろうが、痩せすぎモデルを使い続けたりするようなメディアです。

「強いものには絶対服従」がテレビ局の基本理念ですから、人気タレントを多数抱える大手事務所が表沙汰にしたくないことは、いっさい報じない。

それが今回のジャニーズ問題で白日の下にさらされると、初めて知ったかのような顔をしてきれいごとを繰り返すのは厚顔無恥としか言いようがありません。