医者にかかるときの注意点は何か。医師の和田秀樹さんは「医大は動物実験をたくさんして論文をいっぱい書いた人ほど出世するシステムになっているから、大学病院というだけで信じるのはバカだ。初診時に『失敗しても訴えられないな』と値踏みされたら、難しい手術の実験台になるリスクがある。医者にかかるときの最大のポイントは『なめられないこと』だ」という――。

※本稿は、和田秀樹『和田秀樹の老い方上手』(ワック)の一部を再編集したものです。

患者と会話する医師
写真=iStock.com/andrei_r
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医大で教授になる人間の8割くらいは“獣医さん”

テレビが決して取り上げようとしないテーマはいくつもありますが、その一つが医者の選び方、かかり方です。

60歳を過ぎてしみじみ思うのは、大学病院の出世システムの非合理です。私の大学時代の友人には医学部の教授になった人間もけっこういますけれど、教授という偉そうな人の言うことをペコペコ聞く人のほうが出世しやすいのは、医療ドラマを観れば想像がつくでしょう。

逆に、もし教授に嫌われようものなら、行きたくもない病院に飛ばされるとか、理不尽な仕打ちを受けます。

それも問題ですが、もう一つは動物実験をたくさんして論文をいっぱい書いた人ほど出世すること。つまり、医大で教授になる人間の8割くらいは“獣医さん”なんです。

やはり人間では実験しづらい。一人一人の同意を得なければいけないし、長期間にわたるとか、いろいろな問題があるし、人体実験は禁止されていますから、簡単にデータをとることができません。

動物なら虐待に等しい注射でも解剖でも同意はいらないし、どんなことが起こるかすぐにわかるから、すぐにデータが取れます。そういう意味では動物の病気を治すのでなく、動物を平気で殺すのだから「獣医」さんのほうがよほど偉い。

大学病院で、医者から直接、点滴してもらったり、血をとってもらったりした経験のある人って、あまりいないと思います。だいたい看護師さんか臨床検査技師の人がやってくれます。

大学病院の偉そうな先生方は、若い頃は小さなモルモットやマウスの細い血管の血を抜いたり注射したりするのがすごく得意だったはずなのに、人間には決してやろうとしません。