日本が「スパイ天国」だと見られる理由

Z国やL国、M国などの大使館に行くと、やはり大使館を出てからその国のスパイに尾行されることがあった。実は、警視庁公安部には、場所がどこかはいえないが、通りかかることで点検を行えるポイントが存在する。尾行されていると感じた場合には、同僚に連絡をして、そのポイントで尾行がいるかどうかをチェックしてもらうのである。

Z国やL国の大使館を訪問した後は、その点検場所を通るようにした。そうすることで、尾行してくる相手の写真や動画を撮影できる。もっとも、日本国内の場合は、外事警察のホームグラウンドでの活動なので、怖い思いをすることはあまりない。

勝丸円覚『諜・無法地帯 暗躍するスパイたち』(実業之日本社)

こうした尾行もそうだが、日本で活動するスパイは、日本でのスパイ活動を非常にやりやすいと感じている。スパイ防止法のような法律がないこともあるが、外国人スパイが日本をスパイ天国であると見ている理由のひとつに、日本人の国民性である「性善説」がある。日本では、外国の人には親切にしてあげようと考えている人が多いので、まさかスパイ活動をしている人だとは思いもよらないのである。

スパイ側は日本で活動するのにいろいろと下調べをしているので、日本では警察などがスパイを監視する防諜活動を行っていることを知っている。一方で、警察のマンパワーや能力もある程度把握しているので、少し足を延ばして郊外や地方都市に行ってしまえば、ほとんど追跡できないこともわかっている。少しの工夫でスパイ活動がばれにくくできるのだ。監視されやすい都市部は避ける。観光客然として、実はスパイとして入国して活動しているケースもあるのだ。

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