まず「日本酒とは何か」を伝えなければ
工場は、麹造りをはじめ各工程を見学できてテイスティングルームも完備している。日本酒が同じ醸造酒のビールやワインと違うのは、糖化と発酵が同時に行われるなど、つくりが複雑なこと。特に純米大吟醸となると、外部環境の変化に対して敏感であり、冷蔵保存が求められる。
SAKEを知らないレストラン関係者に、飲むだけでなくSAKEが出来上がる様子を見てもらい、保管を含め理解を深めてもらう必要があるのだ。接点が、進出工場である。〉
――料飲店から始めるわけですが、家庭向けの小売はどうするのでしょうか。小売店での日本酒の価格は店によりバラバラと聞きます。
【博志会長】米市場において、日本酒の価格は、流通によってコントロールされています。価格決定権が酒蔵にはない。これは日本酒業界の弱点なのです。自分たちで価格コントロールできる正常な形に、これからしていきたい。ダッサイ・ブルーをSAKEのスタンダードになる強いブランドにしていき、是正していければと。
より高額なダッサイ・ブルーも投入していく
さらに、アメリカの酒類の小売販売は州によって異なる。「ニューヨーク州の場合、リカーストアにワインや日本酒は置けるが、ビールは販売できない。その一方、スーパーではビールを販売できるものの、ワインやウイスキーを売ることはできない」(一宏社長)。これは小規模なリカーストアを保護するためだけでなく、「禁酒法時代のなごりから、酒類販売への規制が残っているため」(現地の関係者)という指摘もある。
なお、9月に発売を始めた「ダッサイ・ブルー タイプ50 720ml」は小売店でも販売され、希望小売価格は34.99ドル(同約5248円)。タイプ50は精米歩合が50%を意味するが、今後は35%、23%と、より高額なダッサイ・ブルーを現地に投入していく方針だ。〉
――実は昨日、ブルックリンのステーキハウス「ピータールーガー」に、行きました。そこでは、ステーキを運んできた中年の接遇スタッフから、「ステーキソースは使わないように。肉だけで味わいなさい」と言われました。
「ではなぜ、ソースをもってくるのか」と質すと、「当店が100年以上前から提供するソースを、好きだというお客さまがいるから。どうしても使いたかったら、一回だけ試しなさい」と諭されました。値段の高さ以上に、自分たちのソースを否定する対応に驚きました。