大手はカリフォルニア産の食用米を使っているが…
【博志会長】きちんと説明できるスタッフがいるから、ニューヨークの一流店として認められ、世界から来客があるのです。私達は、こうした店を営業し、ダッサイ・ブルーを広めていく。
――ニューヨーク以外の州は、当面どうしていくのでしょうか?
【博志会長】岩国でつくった獺祭を従来通り展開していきます。
――獺祭の輸出は、いつはじめたのですか。
【博志会長】2004年からです。日本酒のなかでは、いまはウチが輸出金額で最大手だと思います。
米市場での日本酒の消費金額4億200万ドルのうち、4400万ドルは日本からの輸出分。残りの3億5800万ドルは、宝酒造や月桂冠、大関など大手が主に西海岸で現地生産する分だ。
これまで、大手各社は和食レストランに比較的安価なSAKEを供給してきた。原料の酒米にはカリフォルニア産のカルローズという品種が使われてきた。本来は食用に栽培されている米だが、酒米としても適性があり、日系の食品商社が高精白して各社に供給している。〉
“日本酒バブル”は曲がり角を迎えている
財務省の調べでは、22年における日本酒の輸出額は前年比18%増の475億円。獺祭は71億円と15%を占めた。米国への輸出額は前年比14%増の約109億円。やはり獺祭が15%ほどを占めるそうだ。
もっとも、今年に入ってからは、日本酒の輸出額は前年を下回ってしまっている。1月から4月で12.5%も減少した。特にアメリカの物価高や在庫調整が影響していたようだが、コロナ後半にアメリカで飲食の消費が急拡大した反動が今年になって現れたともいえる。いずれにせよ、これまで10年ほど続いてきた日本酒のバブル的な輸出拡大は、曲がり角を迎えた格好だ。
一方で「日本国内の日本酒市場は、02年の90万キロリットルに対し、22年は40万キロリットルと縮小に歯止めがかかっていない」(一宏社長)状況。このため、日本酒メーカーは海外市場に活路を求めるしかなく、新たなアプローチが模索されている。〉