女性5閣僚でも支持率は上がらなかった
内閣改造・自民党人事で、内閣支持率は上がらず、政権浮揚につながらなかった。読売新聞緊急世論調査(9月13~14日)によると、内閣支持率は前回8月調査と同じ35%で、3カ月連続で発足以来最低の支持率を記録した。不支持率も前回と同じ50%だった。
政党支持率は、自民党が31%(前回30%)、日本維新の会が6%(同6%)、立憲民主党が4%(同3%)などで、無党派層は41%(同44%)だった。
女性閣僚を過去最多の5人に増やしたことについて「評価する」とした人は72%に上ったが、小渕氏を選挙対策委員長に起用したことを「評価する」とした人は37%で、「評価しない」が44%だった。
小渕氏については、2014年に関係政治団体をめぐる政治資金規正法違反問題が発覚し、経済産業相を辞任、翌15年に元秘書が有罪判決を受けたという経緯がある。
小渕氏は13日の自民党4役の記者会見で、「(15年に地元・群馬で記者会見を行うなど)誠意をもってご説明させていただいてきた。十分に伝わっていない部分があれば、不徳のいたすところだ。心に反省を持ち、忘れることのない傷として歩みを進めていく」と声を震わせ、「今後の歩みを見てご判断をいただきたい」とも語っていた。
「選挙の顔の1人として活躍いただく」
岸田首相は13日夜の記者会見で、小渕氏について、「高い実務能力と選挙対策への知見を培ってこられたと思う。こうした能力や知見を生かしていただきたいということで、選対委員長をお願いした」と述べていた。政治資金問題には触れなかった。支持率向上のためではなく、「潜在能力」を含めて買ったと言いたかったのだろう。
注目されるのは、小渕氏に対し、「選挙の顔の1人としても活躍していただくことを期待している」「(自民党が目指す今後10年間で)女性議員3割に向けて先頭に立って力を振るってほしい」と述べたことだ。首相はこの新布陣での解散・総選挙を模索している、とのメッセージだと受け取れたからだ。
岸田首相の基本戦略は、来年9月に総裁再選を確実にするには、その前に衆院を解散し、選挙に勝って、総裁選に臨むことにある。衆院選を後に控えた総裁選となると、国民人気がある河野氏や石破茂元幹事長(66)、小泉進次郎元環境相(42)が「選挙の顔」として浮上しかねないからだ。
岸田派内には「次期総裁選に茂木氏が出ず、河野氏を閣内にとどめたのなら、有力対抗馬がいない。その前に議席減のリスクを冒して衆院選を打つ必要があるのか」との声も出てきたが、その一方で、首相はこれまで今秋解散の環境を整えるため、着々と手を打ってきた。