絵文字がない黒メールも忌み嫌われた

スマホが普及する前の2008年にガラケーのケータイメールについて取材したとき、「絵文字がひとつも使われていないメールを女子大生は『黒メール』と呼んで忌み嫌う」と聞いた。そのようなメールは「怒っている」という意味になり、相手に「怖い」という感情も与えてしまうという。

※ASCII.jp 絵文字から知る「女子大生のホンネ」

これは冒頭でご紹介した大学生の感覚と似ている。LINEの画面で文字ばかり並ぶと威圧感があり、絵文字がつけられた明るい印象のメッセージと比べて、見た目も黒々していて怖いと感じる気持ちは理解できるのではないか。

ある50代男性は、LINEでのメッセージに絵文字・顔文字を一切使わない。「自分が絵文字顔文字を使ったら気持ち悪いから、せめて丁寧な文章で送っている」という。その男性からのLINEは慇懃いんぎん無礼な印象を受けるが、気遣いの結果で本人は気にしていないのだ。

男性のLINEの友だちは家族と一部の友人のみで、メッセージのやり取りに慣れていないようだ。それゆえメールのような文章になっており、絵文字顔文字の使いどころもピンとこないのだろう。

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自分は使わない句読点に「意味」を見出す

大人の文章コミュニケーションはガラケー文化から始まっている。メールなので長いのは当たり前だし、文章のみでは感情が伝わりづらいため、ハートや星、汗といった絵文字や顔文字を使うものだった。

LINEもメールと同様、用件がある時のみ使う人が多いため、メール文化を引きずった使い方をしている人が多いのだ。そのため、句読点がついていることが多くなる。

一方、若者世代はスピーディーにチャット的にやり取りする。若者にとってSNSでのやり取りは会話だ。用事がないときにもコミュニケーションのためにやり取りされる。「マジ?」「すごいね」「知らなかった」など、単語や短い文章で送られることが多く、わざわざ句読点をつけることはない。

やり取りする周囲の同年代が使用しないため、句読点をつけている文章を見るとそこに意味を見出してしまう。だから、「怖い」「怒っている」と感じるのだ。