単なる「環境活動家」レベルの主張

難波市長は、リニア議論の根拠となっている環境影響評価手続きを根拠に、事業者のJR東海に「広域的な複合リスク」への対応まで求めることはできない、と説明した。

となると、川勝知事は環境影響評価手続きを全く理解できていないことになる。

直近の9月5日の知事会見でも、リニア工事に関わる環境影響評価手続きを無視した発言を延々と繰り返した。

川勝知事は、国のリニア有識者会議への言及の中で、2014年にユネスコに生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)として登録された南アルプスを引き合いに出し「南アルプスエコパークの生態系を全部保全することが、国際公約ではないか。いわゆる環境影響評価がある。南アルプスの自然を保全することは、環境行政の国家的使命である」などととんでもない発言をした。

静岡市、筆者撮影
昨年8月8日に燕沢の残土置き場計画地を視察した川勝知事

ユネスコエコパークは「自然保護と地域の人々の生活(人間の干渉を含む生態系の保全と経済社会活動)とが両立した持続的な発展を目指」すもので、あらゆる開発を禁止するものではない。

この発言に疑問を持った読売新聞記者が「県の立場は、生態系を全部保全することなのか」とただした。

いつものように回答をはぐらかしたため、中日新聞記者が再度、「県の立場は、生態系の全部を保全することがゴールなのか」と追及した。

川勝知事は「生態系を保全するのは、国策であり国際公約です。それをないがしろにするというか、揺るがすようなことを(国の有識者会議)座長が言うべきではない」と行政トップにあるまじきトンデモ発言をしてしまった。

これでは知事は単なる環境活動家と同じである。